新作を待つ私の熱が一番高いのが、
この「富士見二丁目交響楽団シリーズ」です。
で、その待ちに待った新刊です。
ネタばれ満載ですので、ご注意を!


今回は悠季の教え子たちの前期実技試験に向けての様子と、

福山門下生の発表会に向けての悠季の取り組み、

そしてその発表会の様子が描かれています。

よ、良かった。発表会のシーンが次作に持ち越しじゃなくて。

それだけが心配だったんですよ。

もしそうだった時、ワタシが欲求不満で爆発してしまうんじゃないかと。

ちゃんと発表会のシーンもあって、「ブラヴォ~」と圭と声をそろえて

叫んでしまいました。


まず、生徒たちを指導する悠希について。

最初は「どうすれば~」と頭を抱えていた悠季ですが、

ここにきて生徒たちといい関係が築け始めたようです。

生徒によって指導態度が全然異なるのが笑いを誘います。

最初は問題児だった生徒たちも、ここにきて変化が見られ、

数馬はなんだか可愛いし、裕美子は実はキャラが違うし、

杏奈ちゃんは急に負けず嫌いの面が出てきて頑張っちゃうし。

裕美子の変貌には驚かされました。

秋月先生は最初はオリジナリティを持てない子として

裕美子を登場させたのだと思ってたのですが、

違う面のあるキャラになってます。

あまりの変わりようにびっくり。愛着が湧いて途中でキャラ設定を

変えたの?と思うくらい。

でも、裕美子の変貌を読んで納得したことが一つ。

「嵐の予感」に収録されている「雪嵐」、元々は単行本に収められて

いて、単行本ではレッスンに手を焼く生徒として裕美子が

挙げられていたのですが、

「嵐の予感」に収める際、杏奈に変えられていたのです。

その時は、首をかしげつつもスルーしていたのですが、

今作で裕美子に変化が現れるから、あそこを杏奈にしたのだな、と。

うわ、納得~。

ただ……杏奈は今回ちょい変化が見られたけど、やっぱり問題児では

あり続けるのですねぇ。

(「雪嵐」は時期的にいって「アンダルシア~」より後に起こる出来事です)


そして、やはり注目は久々の悠希の、目一杯キラキラ演奏でしょう。

前作で決まっていた曲から変更となって、

モンティの「チャールダーシュ」を演奏することとなった悠季。

それをどのように弾くかを自分なりに研究していくのですが、

表現者としていろいろと考えを深めていきます。

すごくキラキラはしていて、すごく嬉しいシーンではあったのですが、

悠季はまだまだ自分の不足している点が分かっている。

まだまだ悠季が研鑽していくシーンが楽しめそうです。

以前から飯田氏が言っていた「ストリッパー」になれるのでしょうか?

これからが楽しみです。

……それにしても三条さん、やってくれますね。

まぁ、加減はわかっているのでしょうけど……分かってましたよね?


そして、久々に外伝「独り寝・白王女」も収められています。

時期的には悠季がイタリア留学中、「華麗なる復習」にちょっと

かぶる頃の圭の、そして桐ノ院家のお話です。

桐ノ院家で行われた家族会議以降の家族関係はあまり描かれて

きませんでした。そして、ハツのことも。

この外伝でそれが描かれています。


あぁ、良かった。それしか言えません。

以前は桐ノ院家といえば優しさのやの字もないような家でしたが、

それを圭が彼らに歩み寄ることで変わっていったようです。

圭が少しずつ歩み寄る努力をするのは、悠季との優しい関係から

彼が変わったから。それがヒシヒシと伝わります。

そして、変わっていっている家族関係が温かい。

悠季のことが普通に語られることにジーンときました。

そして、ハツのこと。圭が乗り越えることができて良かったと思います。

小さな頃から可愛がってくれた大切な人・ハツを受け入れることができて、

大切なものを失わずにすんだこと、本当に良かった。

これも人との関係を切り捨ててばかりいた圭が、優しさを覚えたから

できたことですね。

ジーンとしながら読んでいたのですが、最後、こうきますか?

圭がお笑い担当になる日がくるとは……。


生徒たちの成長、悠季の成長、圭の成長が描かれた、

非常に私好みの作品でした。満足です。

けれども。

悠季、Hも成長(?)しすぎです!!

最初の頃と比べると、雲泥の差ですね。こんなことまでするようになるとは。

悠希が性的に大胆になる、これは理性でがんじがらめで頑なだった悠希が

心を開くようになっていることを表しているのかなと思っているので、

良いことだは思うのですが、ここまでいっちゃいましたか。

フジミストの方の間で物議をかもすネタとなりそうです。



アンダルシアのそよ風 (角川ルビー文庫 23-46 富士見二丁目交響楽団シリーズ 6部)/秋月 こお
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