意外と多いのが、漫画家が主役の作品です。


紺野けい子「少女漫画家の恋」(「接吻修行」に収録)

  少女漫画家としてデビューして4年、秋本はいまいち売れていない。

  担当編集者の倉田から、まずは読んでもらうことだと、

  今話題のホモネタを扱ってみてはどうかと言われる。

  戸惑う秋本に、自分で試してみるかと倉田は言い……。

こちらも作家ものと同様、経験を作品に……という展開ですね。

恋に慣れてない感じが可愛く、また、綺麗な絵柄が魅力的です。


榎田 尤利「きみがいなけりゃ息もできない」

      「愛なら売るほど」

      「ごめんなさいと言ってみろ」

上記三作は漫画家シリーズと言われています。

主人公はそれぞれ違います。

順に、ダメダメ漫画家、高校時代からの恋を引きずる乙女チックな漫画家、

意地っ張りで気の強い売れっ子漫画家と、タイプが異なります。

どれも面白いですよ~。

私的には「ごめんなさいと言ってみろ」がイチオシです。

意地っ張り漫画家VS傲慢作家の戦いが面白い!!

それでいて、しんみりするシーンもあり。

三作に共通することですか、作品中に出てくる漫画が読んでみたくなります。

「きみがいなけれゃ」はコミカライズされてるようですが、

誰か、作中漫画を漫画家してくれませんかね……イメージ狂っちゃいますかね。


雑誌「Ruby」で発表されている

「世界一初恋 吉野千秋の場合」

(小説:藤崎都 原作・イラスト中村春菊)

担当編集者×漫画家です。

  漫画家千秋の担当は幼なじみの羽鳥。

  ヤツの厳しい言葉を浴びながら作品を生み出す日々。

  ある日、千秋のアシスタントで幼なじみの柳瀬がキスをしているらしき

  ところを見て――。

ごはんまで作って尽くしている羽鳥が不憫……。

タイトルがいいですよねぇ。


ちなみに、同誌に載っている

中村春菊「世界一初恋 小田切律の場合」にも

羽鳥がちょい出してます。

こちらは羽鳥が所属している編集部のお話。

  いくらヒット作を生み出しても、社長の息子だからと言われる律。

  違う会社でヒット作を生み出してやる~と転職。

  だが、配属されたのは希望の文芸とは違う、漫画部門。

  おまけにやり手編集長・高野はヤなヤツで……。

漫画家さんが描く修羅場……リアルです叫び

いや、オーバーには描かれているのでしょうが、ありそうで怖い。

乙女部と呼ばれる編集部の修羅場も怖い。

私たち読者の手元に届くまでに、作品たちはこんな世界をかいくぐって

きてるのかなぁと、思わず手の中の雑誌を見つめてしまいました。

律は高校時代の恋がトラウマになっているのですが、

そのお相手はお約束通りの人物です。

やさぐれ・ひねくれた律は素直になるのか?


藤崎都先生「締め切りのその前に!?」

「打ち合わせのその前に!?」

こちらも漫画家と担当編集者のお話です。

  一年間アンケート1位が取れたら担当編集の不破に告白しようと

  心に決めていた高校生売れっ子漫画家の智久。

  だけど緊張の余り「この原稿が欲しかったら俺と付き合って下さい!」なんて

  脅しまがいなこと言っちゃって!?

恋慣れない智久が、大人の不破に迷惑をかけまいとするのが

けなげですごく可愛いです。


木下けい子「愛のために」(「蜜色パンケーキ」収録)

短編集のうちの1作です。

サラリーマンが漫画家に振り回されるってところが

「きみがいなけりゃ息もできない」に似てますね。


あげてみると、お相手が編集者っていうのが多いですね。

それだけ漫画家さんの世界が狭いってことでしょうか。

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愛なら売るほど/榎田 尤利
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