以前「ちんぷんかん」という大人気「しゃばけ」シリーズの最新刊のことを
当ブログに載せましたが、
畠中恵先生の新シリーズ「まんまこと」を今日は取り上げたいと思います。
玄関で揉め事を裁定する町名主の息子として生まれた麻之助。
彼は以前は生真面目で勤勉な、非常に評判の良い若者だったのに、
16歳になったとき、突然お気楽者に成り果て、親の頭を悩ませています。
彼が急に変わってしまった理由は何なのか。
また、町名主の父の元に持ち込まれる揉め事を引き受けることになった麻之助が、
悪友の清十郎・吉五郎と共に揉め事をどう調査し、どういう裁定を下すのかが読みどころです。
以下感想。
ネタバレというほどでもありませんが、新鮮な気持ちで読みたい方は飛ばしてください。
この作品、麻之助が揉め事を平等にかつ人に優しい裁定をする人情噺です。
ですが、そればかりでなく、登場するほとんどの女性たちは、
想う男の子を宿しながらも違う男の許に嫁ぐ、一人で生む、
または、父を知らずに育つ娘など、
普通に恋愛して結婚するということができなかった者(また、そういう母を持つ子)ばかりの
点が気になりました。
あえてこういう女性たちばかりを出してきたところに、
畠中先生の書きたかったことが表れているのではないかと思います。
江戸時代、結婚は家同士の結びつきということもあり、
いい家柄に生まれれば、見合いで結婚しなければいけなかったでしょう。
女たちは恋をして子を宿しても、その恋しい男と結婚できるとは限らず、
また、男尊女卑の時代でもあり、男は親の決めた結婚をするために、
身分違いの女を捨てるなんてこともよくあることだったのかもしれません。
この作品では、男の都合に振り回される弱い立場の女性の姿を描きつつ、
それでも強く生きていく、女の静かな強さが描かれています。
また、自分とは血のつながらない子を守り、優しく接する人たちも描かれています。
不勉強で、こういうことはこの時代にはよくあることなのかは分りませんが、
これを読んで、ちょっと考えさせられました。
最近、自分の子供や恋人の連れ子を虐待、なんて事件が度々起きています。
「まんまこと」では、自分の子供でもないのに引き取ったり可愛がったりする大人が
たくさん出てきます。
畠中先生は現代の悲しい事件に思うところがあって、この作品を書かれたんじゃないでしょうか。
子供を大人が守ってあげれる社会を作っていかなくてはなぁとつくづく思いました。
*謎解き話
*人情噺
*ちょっとしんみりしてしまう恋物語
*やんちゃな若者の話
上記を読んでみたい方におススメです。
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