アリス・ワンから南へ行く。


ここには森に囲まれ戦車で入ることが出来ない、筋肉聖教の総本山、マッスルカテドラルがある。

健全な肉体に健全な精神は宿る。みたいな教義を掲げている新興宗教だ。


前提からして違うな。

健全な精神を持たぬものは健全な肉体を正しく使えない。

酒の勢いでレイプ事件とか起こしてニュースになる体育会系の学生とかの話を聞くたびそう思う。


教祖、セント・マッスルは「たくましくも理知的な人物と言われているが、入信者や見学者が行方不明になっているなど、黒い噂も絶えない。」として、30000Gの賞金首となっている。

行き掛けの駄賃だ。潰していくか。



森の奥、小さな湖のほとりにそびえるマッスルカテドラル。

ムキムキの上半身の彫像が掲げられた怪しくも荘厳な建造物。


中に入ると、緑色の足拭きマットに「ようこそ筋肉聖教へ」と書かれている。


とりあえず、正面でドアを塞いでるマッチョマンに話しかける。

「筋肉聖教のマッスルカテドラルへようこそ!今日は見学ですか?」


まぁ、そんなとこです。

「そうですか!それは素晴らしい!それでは早速ご案内致しましょう!」


「ここは広間です!」

「あのステージの上で週に一回、我らが教祖セント・マッスルが説法を行います。」

「信者一同、ひとときその身体を鍛えることを休めます。」

「教祖のお言葉に触れ、心を鍛えるというわけです。」


「ここはトレーニングルームです!」

「信者が身体を鍛えるために、日々この部屋で修行を積んでいます。」

「では、次の部屋に行きましょう。」


「ここは出家信者用の部屋です!ここで寝泊まりをするわけですね。」

「自主トレーニングを行いたい時も、このように各部屋にスペースがあるので、安心ですよ。」


「さて、駆け足ですが施設内を案内させていただきました。」

「我らが筋肉聖教の教えは、この荒んだ世の中を生き抜いていくため、」

「より健康な身体と健全な心を皆ではぐくもう、というものです。」

「そしてその教えを胸に生きている限り、この世界で失われつつある人と人とのつながり・・・。」

「即ち愛の心、心の絆を得ることができ、日々を幸せに暮らすことができるということなのです。」

「・・・我らが筋肉聖教は、入信を希望する方々に対して、常に門戸を開いております。」

「もし、我らと共に人生を歩むことを選択するならば、いつでもまたいらしてください。」

「それでは、本日の見学はここまでということにさせていただきます。たいへんお疲れ様でした・・・。」


・・・怪しいなぁ


「・・・なぁ、結構良くないか?」


ぇえっ!?


「そうね!何だか身体を鍛えたくなってきちゃった・・・。」


んなわけねーだろ!


「戦う日々、殺す日々では無く、愛と絆を築く日々、か・・・。」


おいおい・・・


「お、俺、入信します!」

「私も!」

「・・・私も入信させていただきたい。」


サクラ?


「素晴らしい!」

「あなた方も筋肉と心がもたらす愛と絆という一輪の花を、」

「我らが教祖セント・マッスルと共にこの時代に咲かせましょう!」

「早速入信のご案内をいたします。同志よ!」


・・・ありえねー・・・



「見学ですか?」

いいえ

「なんと!それでは入信ですか?」

いいえ

「そうですか、それは残念です。」


・・・いや、そうじゃなくて。潰しにきたんだけど。


「筋肉聖教バンザーイ!」

「セント・マッスル様バンザーイ!!」


・・・ヤバイだろやっぱこれ。