2013年の舞台はじめ。
久々に興奮する作品に出逢ってしまったので、記憶にとどめるための日記。
作:井上ひさしさん
演出:栗山民也さん
次年度担当予定の同タッグの公演の予習と
井上芳雄さんの作品網羅と
石原さとみさんへの少しの興味で出かけたら
激しく裏切られた。(いい意味で)
井上ひさしさんの戯曲はこんなにも素晴らしいものなのかと
感動、感嘆、感銘。(でも実は井上さんの作品はムサシも入れて2作目)
時代背景を知らずともとかく分かりやすく、心地よいリズムで響いてくる言葉。
状況説明やユーモアにもくどさや厭らしさがなく、
時折心に突き刺さる名台詞がある。
そして役者さん達も素晴らしかった。
感動のあまり、本当に久しぶりにパンフレットも買い、
全てあてがきという事を知った。
本当に皆さん素晴らしかったんだけど
やはり井上芳雄さんの歌声は凄い力があるとも思った。
作品は小林多喜二さんの最期までの数年を追ったもので
一つの事柄を深く掘り下げるというよりは出来事の表層を追いながら
その中に登場人物たちの境遇や心情が語られ、様々な問いかけを残していく。
壮大な歴史ドラマに仕立てあげられたものではないけれど
井上さんの歌声が作品に深みと広がりをもたらし、やはり
舞台にしか成せない感動を与えてくれたと思う。
ストレートプレイでもミュージカルでもない、井上さん流の音楽評伝劇、というらしい。
私はやっぱりミュージカルが好きなんだな、と思っていたけれど
それは歌でなくともリズムが心地よいものが好き、なのかもしれないという事に気づけたのは
こんなに面白かった!と思える戯曲に出逢えたからこそ。
最近、ストレートプレイにこれまで以上の驚きは期待できない、
今自分が欲しているのは新しい演出手法だ、なんて生意気な事を思っていた気がするけれど、
戯曲の面白さに叶うものはないのかも、と改めて思った。
肉体とペンひとつで闘い続けた多喜二さんの姿
愛にあふれた周囲の人々
今の世の中と非常に重なり、自分の生き方に疑問を持った。
現在を知り、過去を知り、自立した一人の人間として立ち
人生をしっかりと生きたいと思った。
健全な肉体、安らげる場所、必要なだけのお金を得られる仕事。
これ以外は全ておまけ、ギフトである。
肉体以外はすべて、とも言えるかもしれないが、今の自分の境地では3つは必要に思う。
そして、希望さえ捨てなければ大概の事は成しえるし、と同時に
今の現状は全て自分の選択によってつくられた未来だという事も認識すべきだ。
この戯曲を生みだされた井上ひさしさん、そして
数多くのメッセージを歪みなく伝えてくださった栗山さん、出演者の皆さん、スタッフの皆さん
全ての方々に心から御礼を言いたいと思った。感謝、感謝、感謝。
多喜二さんの亡くなられた年齢にあたる29歳の今、この作品に出逢えた事を運命と思い
2013年、もう一度、舞台の力を信じて進んでみたい。