いや~此処数日、肋骨亀裂骨折やら、抜歯手術やら、PCの不調やらが重なり、ブログの更新が遅れて仕舞いました。御容赦くださいませ。

感を取り戻す為にも無駄話をひとつ…


私は子供の時分から説話、民話、昔話において異類婚姻譚、殊に異類女房譚が好きでした。

"異なるもの"と交わりへの憧憬と畏怖は全人類が共通で持っている感情であるのだろう。
人が"異なるもの"と交わり、婚姻を結ぶ話は、全世界的に分布している。ギリシャ神話のゼウスの浮気、かえるの王様、美女と野獣、蘆屋道満大内鑑の葛の葉の子別れ(安倍晴明の誕生譚でもある)など数えれば切りがない。

また異類女房譚に共通する重要な項目として「見るなのタブー」がある。
大抵の異類女房譚はこの「見るなのタブー」を犯すことで悲劇(主に離別)が訪れる話になっている。
鶴の恩返しの「覗くな」(鶴女房)、浦島太郎の「(玉手箱を)開けるな」(亀女房)が最もポピュラーな例であろう。

その中でも私が好きなのは、この「見るなのタブー」を犯し、離別が訪れた後をしっかり描いたものだ。

例えば蛇女房は、正体がばれ別離の際に男との間に出来た子供に乳代わりにしゃぶらせるように自分の片眼を与え、其れが無くなるともう一つの眼まで与え、「目が見えなくなったから、昼も夜も判らないので、代わりに鐘を鳴らして、朝が来るのを知らせてほしい」と告げ、湖の中に消えていく…
私は幼少時代、まんが日本昔ばなしのこの話のビデオを見ては感動し、泣いておりました…

そして今回イラストを描いた烏女房(落語の演題は水神)は、別離の際、「もし貴方が其れ程に私を想ってくれるなら、これを着てくれると貴方も烏になれるから」と黒い羽織のようなものを差し出す。
そして、それが素晴らしいサゲへと繋がっていく。
気になった方は是非、CDでも何でもいいです、三遊亭圓生の「水神」を聞いてみてください。

切なく、優しく、暖かいそんな異類女房譚をどうぞ。