自分の佇まいを問われるカフェ | マイニチ@SPICE

自分の佇まいを問われるカフェ

 本当は、カフェに行ってそんな難しいことは考えなくていいのだとは思うのだけれど。

 先日初めて行ったカフェはあまりに自然な佇まいだったので、そこにいる自分に猛烈に違和感を感じてしまったのだ。
 その佇まい。


 ここ、カフェですか?
 ええ、カフェです。
 ちゃんと看板出ています。


 夕暮れには灯るのだろうか。

 見たまんまではあるが、民家を改築して作られたカフェは本当にレトロな作りになっている。居心地に座り心地とか物の心地よい形とかを求める私としては、レトロだけを追求した椅子(昔の座り心地は良くないがとにかくレトロなやつ)とか、ミシン台のテーブル(要するにミシン台)は使い勝手として宜しくないのであまり魅力ではなかった。しかしそこに魅力を感じる人はきっと沢山いるだろう。
 私が魅力を感じたのは、流し台のタイルや、柱の穴や、床板だった。建築物そのものだ。低い日本の天井と、元々押し入れだっただろうと思われる場所。そういう『ああ、ここにこうして手を入れたのか』という人の手を思うことが面白かった。
 カウンター席には地元の常連らしき高齢のお客様が数名。若いマスターがちょうどいい笑顔で応対している。きっとそれがいつもの風景。
 珈琲は少し薄くて、言い方は悪いが水のように飲めてしまう。美味しいからこそなのだけれど私はもう少し濃いめが好きだと気がつく。結局おかわり。珈琲カップも、もう少し薄いと良い。
 そんな風に吟味してしまうのは『自分はここが好きか?』と自問自答している証だろう。

 自分はここが好きか?
 この佇まいに、自分は溶け込めるのか?

 張る必要のない虚勢を張って、ただ椅子に座っていた。
 夕方まで後少し。



 また行くのだろうか。
 また行くのだろう。