「earth music & ecology」のアパレルメーカーが渋谷に開業したホテル「hotel koe Tokyo」が閉店を余儀なくされました。

 

「hotel koe Tokyo」は、岡山のセレクトショップが前身の「earth music&ecology」で有名なアパレル企業の株式会社ストライプインターナショナルが2018年2月19日に渋谷に開業したホテルですが、2022年1月末を持って閉館となります。わずか4年のみの軌跡のホテルとなってしまいそうです。

 

 

開業当時は、アパレルメーカーのホテル事業進出ということで話題になりました。

「ライフスタイルブランド「koe」のブランドコンセプトである「new basic for new culture」を体現する場として、「今」と「未来」、そして「日本」と「世界」を見据えたグローバルな視点でデザインしたホテルで、ステイ/ファッション/ミュージック&フードの3つのキーワードを軸に日常と非日常の融合と新しい文化を生み出す」ことを目指していました。

 

具体的には谷尻誠と吉田愛が率いるサポーズデザインオフィスが、店舗全体のクリエーティブディレクションや設計、インテリアデザインを担当し、ブランドロゴやグラフィックデザインは、artless Inc.の川上シュンが手掛けたそうです。

 

1階にはブレッド&ダイニング「コエ ロビー(koe lobby)」とイベントスペース「コエ スペース(koe space)」、2階はアパレル・雑貨のショップ「コエ 渋谷」、そしてホテルは3階というフロア構成で、ホテルの方は服のサイズにちなんだ客室はS~XLまで4タイプ10室をそろえ、一部の部屋には縁側のように利用できる小上がりや室内に「離れ」を備えるなどデザインに凝ったものでした。

 

ファッションとホテルの融合というコンセプトが画期的だったのと、部屋のインテリアもお洒落で素敵だったので、僕も注視していていつか泊まりたいとは思っていたのですが、

なにしろ宿泊料金が高くて、1泊3万円以上するのでなかなか機会を逸していました。

 

「衣食住+文化のニューリテール」と位置付けて新しい小売の形を確立するというチャレンジングな発想はよかったのですが、実際はそれについてこれる客層があまりにも少なかったということだと思います。

 

ファッションというのを前面に謳ったことで、僕のような一般人で、かつホテルだけに興味がある人にとってはハードルが上がってしまったことは否めません。

 

閉館のリリースでは「成長戦略を見直した結果」という何とも奇妙な言い方をしていますが、結果的には「大失敗したから」に他なりません。

 

コロナも原因の1つにはあると思いますが、2020年には、創業社長の石川氏が女性社員に対してセクハラ行為をしていたことがメディアで報じられて社長退任するなど、会社自体がレピュテーション低下にも悩まされていたことも要因の1つかも知れません。

 

このような個性的なホテルがなくなってしまうことは残念ですし、せっかくなので最後に泊まってみようと思ったのですが、もう予約は受け付けていないようです。

 

コンセプトやプロデュースが良くても、ビジネスにのせるというのは、全く別物ですよね。