白内障手術の歴史は?

 

白内障手術の歴史は古くて、色々な進化を遂げてきました。古代のギリシャや古代のエジプトでは、針、その他の道具を用いた手術が行われていました。しかしこれらの手術は成功率が低く、非常に危険で、広く普及はしませんでした。中世において手術法は試みがありましたが、感染症リスクが高く、また痛みもひどく、成功例は限定されました。

18世紀以降、外科と医学の進歩に伴い、白内障手術の技術は向上しました。そして19世紀に麻酔導入が手術安全性を向上させ、20世紀はじめに人工水晶体の発明が白内障手術に進化をあたえ、患者の視力が回復可能となりました。

1967年、超音波を使用した手術が発明され、白内障手術はそれまでよりもスピーディかつ安全に実施可能となりました。1980年代、レーザーの導入があり、レーザー使用によるフォトニック手術が一般的になることにより、患者さんの回復時間が短縮可能となりました。

現代、白内障手術は安全で高度な技術を保持する一般的な手順となっています。そのことにより白内障手術は患者さんの視力改善の為の重要な治療法として広く活用されるようになりました。

 

白内障手術の歴史において、古代手術方法は、初期の頃のみ行われました。古代のギリシャ、古代のエジプトでは、他の道具や針などを使った白内障手術が行われました。しかし、これらの手術成功率が低くて、非常に危険性が高かった為、普及しませんでした。

手術の具体的な方法は、記録が限定され、詳しいことははっきりとはわかりません。考古学発見や古代の文献から、手術についての感染症リスクの高さや痛みが大きい事がわかります。当時の手術技術や医学知識があまり発達していなかった為、手術成功例は少なく、白内障手術は一般的治療法とはいえませんでした。

 

サウトンはビザンチン帝国ではなくて、古代のインドの医師で、紀元前6世紀に活動したと言われています。サウトンはスシュルタ・サンヒターとして知られ古典的な医学文献を書き、その文献の中で白内障手術に関する詳しい記録を残しました。サウトンの白内障手術の方法は白内障切除の方法を提案し、患者さんは仰向けに寝かせられ、眼は適切な位置に固定されました。特定の植物部分が麻酔として使用され、切開が実施され、硬くなった白内障組織が除去されました。傷口は手術後に適切に処理されて、治癒が行われました。このサウトン手術法は当時の医学の水準を反映し、その後の医学基盤となり、サウトンの文献は、古代白内障手術に関する詳しい文献として重要です。

 

中世も白内障手術は試みられました。しかし、その成功の確率は低かったのです。当時、手術法は、高い感染症リスクと痛みを伴い、医学の知識が限られていたため、手術の成功例はわずかでした。

手術法に関する詳しい記録は限定されていますが、医療環境は中世、衛生面で不十分であり、白内障手術はとても危険でした。手術が実施される時、患者さんには痛みを緩和する麻酔はほとんどなく、感染症対策も十分ではありませんでした。また、医師たちは解剖学的知識が不足し、手術の正確性にも欠けました。

白内障手術の方法や成功事例について詳しいことはよくわかりませんが、中世、手術が高リスクを伴い危険であり、白内障手術も危険でした。医学の進歩に伴い、手術の成功率や安全性が向上するまでに長い時間が必要でした。

 

外科と医学が進歩し、18世紀以降白内障手術技術はかなり進化しました。また、外科が急速に発展し、手術に利用される道具が導入され、新技術により、白内障手術などがより正確に行われるようになりました。

19世紀初めの麻酔の導入は大きな進展でした。クロロホルムやエーテル等の麻酔が使用され、手術中の患者さんの痛み軽減につながり、外科手術の安全性が向上しました。

また19世紀には細菌学と組織学の進化があり、感染症に関する知識が深まることにより、手術の感染症リスクの低減につながりました。また手術後の合併症も減少することができました。

これらの進展で、白内障手術は成功率、安全性が向上したことにより、患者さんへの負担が減少しました。外科と医学の進歩が白内障手術、外科手術において重要な役割を果たすことにより、近代手術術の基盤を築くことができました。

 

20世紀初め、白内障手術が大きく進化して、その中でも重要なのが人工水晶体の発明です。人工水晶体は、白内障の摘出後、患者の眼内に人工の透明なレンズを挿入することにより、視力を回復させる技術的な革新でした。

人工水晶体の発明者は何人かいて、その中で最も有名なのは、イギリスのHarold Ridleyです。Harold Ridleyは、第二次世界大戦中、飛行機パイロットの視力矯正の為、使用されたアクリル製飛行ゴーグルの視野を拡大するレンズにヒントを得て、1950年に初めて人工水晶体を発明しました。

この人工水晶体発明により、白内障手術後に患者さんの眼に留め置くことが可能で、視力回復が可能となりました。これは今までの白内障手術で除去されていた自然水晶体を変換するもので、手術後に眼の焦点を調整可能で、近くも遠くも見ることが可能となりました。

人工水晶体導入により、患者さんはコンタクトレンズやメガネなしの日常生活を送ることが可能で、視力が回復する可能性が飛躍的に広がりました。人工水晶体の発明により、白内障手術がより効果的に安全に実施可能となりました。

 

超音波を使用した白内障手術(ファコエネメーション手術)は、フランスの外科医であるCharles D. Kelmanによって発明され、白内障手術の発展に多大な影響を与えました。この手術法は、1967年に初めて発明された後、急速に普及しました。

ファコエネメーション手術では、超音波を使用し白内障組織を切除します。手術が開始されると、最初に患者さんの眼球に小さく切開を行い、超音波振動が発生する振動子を挿入します。この振動子により超音波エネルギーが発生して、白内障組織を細かく砕くと同時に吸引し、眼球内から組織を切除します。

ファコエネメーション手術にはいくつかのメリットがあり、超音波による摘出が非常に精密で、周辺組織の損傷が小さいので、術後回復がスピーディーで、患者さんの不快感が軽くなります。また、今までの手術の方法より切開口が小さく、傷が小さくなるため、手術の後の美容的影響が小さいというメリットもあります。

ファコエネメーション手術の発明によって、白内障手術が今までよりもスピーディーかつ安全に実施可能となり、患者さんの視力の回復が向上しました。超音波使用の手術法はその後、進展して白内障手術は現代社会において成功率の高い一般的な治療法となりました。