翌日、幻想郷ではあんまり見られない豪雨は嘘かのように快晴になっていた。青空の中空を飛んでいる烏天狗、射命丸文が手に持っている新聞を所々の住民の家へ配っている。
「速報ですよ! これは一大ニュースですよ! これを読まないと明日はありませんよ!」
少し脅しに見えるような事を呼び掛けつつも新聞を配っているが、これでも購読者は少なく、これだけ沢山ばら撒いているのはかなりの『号外』とも言えよう。
博麗神社、一人の巫女は文が配った新聞を手に取り一面を見る。
『幻想郷史上記録的大雨か!』
記事によると『先日昼頃、突然晴れ模様から一変し、豪雨を降り出した。降り続いた時間は非常に長く、にわか雨とは違ったゲリラ豪雨という声もある。
原因は調査中。その原因とは関係あるのか、豪雨が降り終わった後、かなり冷え込み、季節が逆戻りしたのか、山など所々で雪が降る場所も出ている。
他にも色々な事が起こっている事もあるため、注意が必要だ。』
新聞を見て、巫女、博麗霊夢は驚きと疑問が浮かび上がる。
「この時期に豪雨なんて、かなり物騒な事をやっているわね。また紫の仕業だったりして」
「私が理由無しにこんなことをやるのかしら?」
霊夢は予想した瞬間、突然隙間から紫が現れて言葉にツッコミを入れた。少し驚きながらも、話を続ける。
「それじゃ、誰がやるのよ」
「……」
はずだったが、急に紫の口が止まり、無言になってしまう。不審に思った霊夢はさらに責める。
「紫と思ったのはただの予想よ。でも、昨日の豪雨といい、今日の異常現象といい、一体誰がやっているの?」
「それじゃ答えるわ。でも、その前に問題に答えてちょうだい」
「問題?」
「この幻想郷で見守る役目を持っている人は何人いる?」
常識に根付いて楽勝と思ったのか、霊夢は即答をした。
「勿論あんた一人よ!」
「残念。ハズレよ」
「あれ、一人じゃないの!?」
「現時点では一人だけどね。でも、実は二人いて、もう一人は天緑山に封印されているわ」
「天緑山? 聞いたことない場所ね」
紫は分からない霊夢のために天緑山について語り始める。
天緑山(てんりょくざん)とは幻想郷一大きく、外の世界と境界にある山で、山の中に神がいることによって、山と世界の気候のバランスを保っている。表面は緑に覆われている。
「そんな山にあの人がいるの?」
「ええ。私が天緑山に封印したけど、何者かが封印を解いたらしいわ」
「あんたが封印……一体どういう事情で?」
「あ……、それは言えないわ。でも、封印が解かれたら最悪な状態になるわ」
「最悪な状態ねぇ。それほど危険って事かしら」
「簡単に言えばね。今回のシナリオはあの人と封印を解いた人が作ったのかしらね」
「別の人ねぇ……うーん……」
後先分からない謎に、二人の頭を回転するが、どうしようかわからず、ずっと話していても疲れるだけだと分かった霊夢は別の話題を持ちこむ。
「そういえば、魔理沙来ないわね。今日来ると自分から言っているのに」
先日魔理沙からこの日博麗神社に来ると言いきって立ち去っているのを霊夢は覚えていた。だが、あたりを見回しても魔理沙の姿は無い。「自分から言いきっておいて結局来なかったってオチかしら?」と霊夢は思い始めると――
「あ、丁度良かった! ここに居たのね!」
人形遣いであるアリス・マーガトロイドが息を切らしながらも鳥居をくぐって来て、その場で見付けた霊夢に声をかけてきた。
「あら、アリスじゃないの。一体どうしたの?」
「実は、魔理沙からの伝言で―――」
「「え?」」
魔理沙からの伝言を聞いた瞬間、霊夢と紫は声を合わせて驚きを見せた。
その頃、紅魔館付近の湖では、二人の少女が激突していた。白と黒をと分かれているようだ。
「いい加減手を広げる癖を直したら? ルーミア」
「良いじゃないか、私の勝手よ。光香こそ眩しすぎる服装を直したら?」
闇の妖怪と言われるルーミアと光の妖怪、吉祥 光香が容姿について口喧嘩をしているようだ。
ルーミアと光香は闇と光、黒と白というように双極の関係を持っていて、とても仲が悪い。目が合っただけでもすぐにバトル勃発ということも少なくは無い。
「やっぱりお互い気に入らないようね。やってやろうじゃないの!」
「そうよねぇ~。やるしかない!」
今回も些細な出来事で喧嘩が起こった。――のはいいが、大丈夫だろう