白鵬です。
今日、福井巡業が終わり東京に帰ってまいりました。
北の湖前理事長の他界に続き、千代の富士・九重親方の突然の訃報を聞きました。
偉大な昭和の大横綱が後を追うように亡くなったことは本当に悲しくて、寂しいです。
私は入門した頃、62キロしか無く、なかなか太ることも出来なくてその時、千代の富士関の取り組みのビデオを観ました。
小さい体で大きい力士をもろともせず投げ飛ばし、そして怪我を克服し、左前みつを取り一気に走る。
あの相撲を見て衝撃を受けました。
現在私の右四つの型も、左前まわしの型も言葉は悪いですが、九重親方から盗んだといっても過言ではありません。
親方とは2004年の北京・上海巡業で初めて会話し、そして一年後のラスベガス巡業でも会話することが出来ました。
「白鵬。もう少し体が出来たら強くなるぞ。」
その言葉を聞いて、その言葉を疑いました。
でも大横綱の目には疑いはなかったんだと思います。
そして東日本大震災が起こった3月11日から3か月後、親方と共に東北に行きました。
本当に人思いで、ものすごく責任感が強く、物事の切り替えが早く素晴らしい方だと思いました。
そして去年の親方の還暦土俵入りで太刀持ちを出来たことは、あのビデオで観ていた、あの土俵入りを数十センチの近くの距離で見ることができてとても光栄に思っております。
最後に会った時は、今年の3月場所前で稽古後の風呂上がりの時に親方一緒に写真撮りましたね。
胸に大きな傷がありましたけど、写真を撮るとき隠しましたね。
自分の弱いところは見せない。本当に横綱の中の横綱だとその時に確信いたしました。
最後まで自分を貫くこと。引退した後でも横綱だったんだなと感じました。
早い、早すぎる突然の事でした。
天国でも大相撲、楽しんでください。
1045勝。
親方が打ち立てました。
この記録に近づき、そして親方の凄さを改めて日本中に感じさせ、
1045勝の記録を抜く事が親方への恩返しじゃないかと思っております。
実は、一緒にゆっくりと、対談することが決まっていましたが、それが実現できたかったのが心残りのひとつです。
親方の九州場所8連覇という記録はこれからも今後は誰もが抜くことはないと思います。
千代の富士の前に千代の富士なし。
千代の富士の後に千代の富士なし。
悲しいです。
親方 ありがとうございました。
第69代横綱
白鵬 翔
最後に皆さん両親や兄弟や家族、人々を愛しましょう。
急に、会ったばかりなのに両親に会いたくなりました。