「時間を越えて、3年前と3年後が、繋がっている・・・」
《そうだ。まぁ、あんまり深く考えると面倒だからな》
「うーん・・・」
「だから深く考えんな」
「ごめん、くせで」
《今私がいるこの無人島には、結界が張られている》
「結界?」
《そんな強力なものではないが、簡単には破れん》
「なんだよ珠莉。お前、魔女の中だとトップなんだろ?」
《ふっ、そうだがな。私にも出来ないことはあるのだ》
「そうだ、珠莉さんさっき、なんで小陽の周りに男と女がいるってわかったんですか?」
《ああ、あれはカンだ。たまたま当たったからビックリしたよ》
この人、あてになるかな・・・。
「・・・」
《この計画を行っているのは、私の幼なじみの『鬼龍』だ》
「きりゅう・・・」
《あいつはまだ、お前らがこうして動いていることを知らぬはずだ》
「でももしかしたら気づかれてるんじゃ」
《まぁそうだとしても大丈夫だ。そこの賽銭箱に私の骨があるのならな》
「ここに骨があるということは、あなたこっちだと死んでる・・・?」
《はははっ。今更か知鶴》
「こいつにぶいんだよ」
「うっうるせぇ!」
《1ヶ月ほど前に無人島に鬼龍がきた》
「鬼龍さんが?」
《そうだ。手下をぞろぞろと連れてきていてな》
「・・・」
《無人島でも、私の力なら簡単な魔法は使える》
「簡単な魔法って、魔法にも簡単なのがあるんですね」
《まぁな。海の水を『聖水』に変えて、ヤツの動きを監視した》
「・・・」
《すると、3年後のこの無人島にくるとわかったんだ》
「すご・・・」
《予定どおり鬼龍は来た。監視を続けると、樽から50メートル離れたところに、骨があった》
「それが・・・これ」
「イコール珠莉ってわけだ」
《ああ。この神社には、なぜか魔力が強くてな。だからきっと鬼龍のやつもここに私の骨を入れたんだ》
でもなんで賽銭箱・・・?この人たちよく分からねぇ。
《よし、説明はここまでだ。小陽、指輪を骨に》
「ああ」
骨に・・・指輪!?
キュイィーーーン・・・
「うわあああああ!!?」
「あああああっ」
小陽が骨に指輪をはめた瞬間、急に白い光に包まれた。
シュウウウウ・・・
「げほっげほ」
「よくやった。小陽」
聞き覚えのあるこの声。
「うまくいったか・・・」
「ああ、だが・・・反動で起きてられない・・・、寝る」
「はぁ?・・・おっおい!」
崩れるように倒れたこの人は
「この人が・・・珠莉・・・さん」
美しい髪、凛々しい顔、スラッとした体・・・はじめてみるような美しさだった。
「ふっ、噂どおりの美人だな」
「ああ・・・」
俺たち3人は言葉を失った。
「しかたねぇな」
「おっ大丈夫か?」
そう言うと小陽は珠莉さんをおんぶした。
「軽すぎねぇか?こいつ」
「仕方ないよ。ずっと無人島にいたんだから」
「・・・この先に・・・たしか・・・食堂屋さんがあった・・・気がします」
「本当?ユノちゃん」
「は、はい・・・」
「サンキュ。ユノ」
小陽はニッと笑った。
それからしばらくして、山道を歩いているとき、珠莉さんは目を覚ました。
「よく寝たか?珠莉」
「ああ、まぁな」
「そうだ、珠莉さん、のどかわいてませんか?そこに水が・・・」
「それは無理だ」
「えっ」
「実は、本当の私はまだ無人島にいる。今お前たちが見ている私は、幻覚にすぎない。だからそういった空腹などは感じんのだ」
「へぇ・・・」
「なんだか、またゴチャゴチャしてきた!!」
「深く考えるなと言ったろ。知鶴」
「・・・俺、ちょっと散歩してくる」
小陽はそう言うとふいっとどこかへ行ってしまった。
「コヒナ」
「・・・」
「あなたは一体、私とどうなりたいのですか?」
「・・・」
「では、妹とどんな関係になりたいのですか?」
「・・・じゃあ若葉。お前は俺と、どうにかなれるのか?」
「・・・コヒナ、あなたは私に、こう尋ねているのですね?」
「・・・」
「『お前は俺の女になれるのか』、と」
「いや、そこまで品のねぇのことは言ってねぇ」
「まぁけがらわしい」
「けがらわしくねー」
「・・・」
「だいたいなにが妹だ。俺を兄とも呼んだことがないくせに。それにお前、俺を兄と思ってないだろ」
「当たり前です。血も繋がってませんし」
「!!」
「・・・」
「なぁ、なんでお前なんだ?」
「・・・」
「どう考えても不合理だろ。今まで付き合った女と違って、色気も胸もなんもねぇのに」
「・・・」
「なんでこう、落ち着かないんだ?気になるんだ?」
「それはただの寝不足です」
「ちがう」
「・・・」
「若葉。ともかく、しばらくは誰ともどうもなるな。いいな」
「・・・」
「・・・」
「では、すでにどうにかなっている場合は、どうしますか?」
「!?・・・かっ彼氏がいんのか!?」
「・・・」
「・・・」
「合理的に考えて、どうでしょう?」
若葉・・・。
「小陽っ」
「知鶴・・・」
「なにしてんだよ、こんなところで」
「・・・なぁ知鶴」
「うん?」
「若葉に彼氏がいたって噂、知ってるか?」
ドキ!!!!
「・・・」
「わっ悪りぃっ、急に変なこと言って」
「い、いや、全然っ」
ビックリした、バレたのかと思った・・・。焦ったぜ。
「珠莉たちは?」
「なんか、『じゃ私たちも散歩してくる』って言って、どっか行った」
「そうか・・・」
「ん?」
「どうしたダンジ」
「いえ、この付近で、とても強い魔力を感じまして・・・」
「なんだと?・・・まさか・・・ダンジ!神社の賽銭箱を確認しろ!」
「はいっ」
「くっそぉ・・・あの女・・・なにかやらかしたな?予想はしていたがな・・・」
「鬼龍様!骨が・・・骨がなくなっております!!」
「やはり・・・探せ!今すぐ見つけ出せ!!」
「手下どもを連れ出しても・・・」
「構わん!今すぐだ!」
ザッザッザッ・・・
「ユノ、あとちょっとだぞ。頑張れ」
「は、はい・・・」
しかし・・・この『ユノ』って女、どっかで見たことあるぞ?だが、なかなか思い出せん・・・。こいつはいったい・・・?
「ほらっ着いた!」
ザァァァ・・・
「風の音・・・すごい・・・きれい・・・」
「きれいだろ?よくここに来て、景色を眺めたものだ」
「へぇ・・・」
鬼龍。待っていろ。お前の思い通りにはさせん。