No.1
ついに・・・王様たちの依頼を実行するときが来た。
フォッグたちの解放、地下世界からの脱出のための研究の始まりだ。
お二人も頭がいいので手伝ってくれると言っていたけど、
忙しいだろうから多分ムリだろう。
まずは、バリアの成分を調べることから始めよう。
No.2
計測の結果、バリアはスピリットの力で生成されていることが分かった。
フロスト7人分のスピリットの力で形成されている。
これを壊すには、同じようにフロスト7人分のスピリットを使って反発させ、
構造を破壊するしかない。
フォッグのスピリットはフロストのスピリットよりもずっと結合が弱く時間経過と共に
パワーが急激に減少する。つまり、フォッグのスピリットがいくつあっても
バリアを壊すことはできないということだ・・・
No.3
人型のフォッグがフロストのスピリットを取り込むと、モンスター型フォッグのような
特徴が現れるのは、フォッグのスピリットには元々モンスターの要素があるのか、
それともフロストのスピリットにそれがあるのか・・・
もしもフロストもフォッグも同じ要素でスピリットが形成されているのだとしたら、
フォッグのスピリットでも十分代用が可能だろう。
No.4
フロストのスピリットについての資料を集めようと城の中を探っていたら、
こんなテープを見つけた。女王は知らないに違いない。見ないほうがいいだろう・・・
No.5
なんと、フロストが地下へ落ちてきた。
子供だったため弱かったフロストはすぐさま殺されて研究所に運び込まれてきた。
万が一のために先に作っておいたスピリット保持装置のおかげで
フロストの体にスピリットは宿ったままだが・・・
・・・こんなことで心を痛めている場合じゃない・・・ありがたく研究に活かさせてもらおう。
No.6
前回の報告からすぐに、またフロストが落ちてきた。
もしかして、この調子であっという間に7人分のフロストのスピリットが揃うのではないか?
だとしたら、自分がやっている研究も必要はなくなってしまうが、
そのほうがいいのかもしれない。またすぐに落ちてくるだろうか?
No.7
そう簡単にはいかなかった。あれからフロストは全く落ちてこない。
フロストのスピリットを分析した結果、興味深いことが分かった。
フォッグのスピリットと構造はほとんど同じだったが、
魔法の力に強く依存して構成されているフォッグのスピリットと違い、
フロストのスピリットは魔法ではなく「感情」によって存在を保っている。
「感情」は数値化しづらく成分として安定させにくい。しかしこの違いが判明したことが、
フォッグのスピリットからパワーを抽出する足がかりになるのは間違いない。
No.8
ついに「感情」をフロストのスピリットから分離させることに成功した。
仮に我々の間で分かりやすく呼称するためにそれを「マインド」と名づけた。
ただしこの物質は非常にもろく霧散しやすい。その上物質に宿りやすく扱いが難しい。
先にこれを安全に取り扱うための機器を開発したほうがよさそうだ。
それにしても、最近コアの調子がよくない。最近任命された新しい技術者のせいだろうか?
こちらは順調だが全てが上手くいくわけではないようだ。
No.9
女王が用意した、まだ生きているがもう目を覚まさないフォッグに
マインドを注入する試験が始まった。実行は明日。必要な機器は全部揃っている。
これで体が霧になればスピリットがその場に残るはず。明日が楽しみだ。
No.10
体が霧にならずスピリットが回収できなかった。どうしてだろう。
フォッグの体に残る魔法の力がマインドと拒否反応を起こしたのかもしれない。
それならまず魔法の力を抜き取った方がいい?
いや、そんなことをしたらすぐに体は霧になってしまうだろう・・・
No.11
セレスにパンタシアを作ってあげると約束していたけど、
試作品を演奏しただけでセレスは奇跡の音楽家だと賞賛されるようになった。
きっと私のことなんか忘れてしまったんだろう。完成させたくない。
そもそもあれは、楽器ではなかったし・・・
No.12
いくらマインドを注入しても何も起こらない。
フロストのスピリットは6つもあるからマインドが枯渇する危険はないけれど・・・
そういえば今日、容器が倒れて一つマインドが放出されてしまった。
豊富にあるとはいえ無駄にするなんてもってのほか。気をつけないと。
No.13
女王から借りていた人形が、突然笑い出した。
No,14
もう動かないはずのフォッグたちが、全員目を覚ました。
歩ける人ばかりじゃないけど、問題なく意思の疎通ができている。
みんなもう、死んでしまっているはずなのに・・・?
No.15
実験自体は失敗だったけど・・・フォッグを生き返らせることができた。
これはこれで、よかったと言えるだろう。
女王から遺族へみんな生き返ったから家に帰れると連絡をしてもらった。
皆さんの喜ぶ顔が早く見たい。研究はまだ続くけど、希望を捨てずに頑張ろう。
No.16
そんな・・・どうして・・・
No.18
置いておいたあの人形がいなくなった。
No.19
遺族からの問い合わせの電話がやまない。
生き返ったんじゃないのか、帰ってこられるんじゃないかと何度も訊かれる。
どう説明したらいいのか分からないので、もう電話が鳴っても無視している。
No.20
今日はマリーからと、セレスからと、アリアさんからの留守電が入っていた。
でも、どれも聞いてない。
No.21
暗くて狭い部屋で、一人でいると落ち着く。
何も考えたくない。ごめんなさい。ごめんなさい。