(統合失調症 ②からのつづきです)

 とにかく私もそのように努めました。
 Oちゃんが感じていることをひとつひとつ真剣に聞き、共感し、自分なりに理解しました。
 必要があれば「それはこういうことだと思うよ」と解説したりしました。
でも、必要なのは解説より共感だと思います。
突然わけのわからない世界に触れてしまった人にとって、”共感してもらえる”ことほど救われることはありません。それは私自身もよくよく気持ちがわかります。
 
 統合失調症の方が話していることは、すべて事実です。

これが、自分の経験から一番伝えたいことです。
同じように、もしも家族の誰かが苦しんでいるという方がいらっしゃったら、ここをわかってあげてほしいと思います。しかし、ここが一番難しいこともよくわかっているつもりです。
 
どのような形であれ、精神世界に触れた人の話を、
現実世界しか知らない、一見正常なふりをした私たちが、
理解に苦しみ、そんなものはないと決めつけ、切り捨ててしまっているのです。

しかし

人生で、自分の理解を超えるものに出会うことは、そんなに珍しいことでしょうか?

もしもそれが、目に見えるものであれば、自分の理解を超えていてもまだ受け入れやすいのではないかと思います。

すると、そこに違いがあるとすれば

”目に見えるか見えないか” ということであり、
 
問題は 「この世に限定されて生きている人間の思考そのもの」であると私は思うのです。
 
 
 
Oちゃんは、その2日間でずいぶん落ち着いてくれました。
 Oちゃんは、これまで私の言うことはよくわからなかったけど、今はすっと理解できる。
と言っていました。

あと、同じように統合失調症で苦しんだ方の全く同じような体験談が載ったブログも見せました。
ただ、この時は少しドキドキしました。
まだ現実の世界とごっちゃになってしまっているOちゃんに、「自分を病気扱いするな!」
と反発されてしまうかもしれないと思ったからです。

しかし、あまりにも同じ体験談であったため、先ほどの”共感”の癒しが大きかったのか、
肩の力が抜けたようになって、ぽろぽろと涙と流し、
「あほらしい、、、病気やったんか、、」
と、現状を理解できた様子でした。

ここで細かく言うと、病気ではないと言いたいところですが、
「自分に起こったことを正しく理解できず、翻弄されている状態である」
という意味では、
現状、病気であると認識できたことで、Oちゃんは自分をかなり取り戻すことができたそうです。
 
 
そんな二日間を終え、Oちゃんは自分の家に戻りましたが
私は次の日からも毎朝迎えに行って、うちに連れて来ては
話をして一緒に過ごしました。
 
それは、とても幸せな時間でもありました。
 
Oちゃんと、初めてゆっくり過ごせる毎日でした。
これまで喧嘩も多かったけど、初めて心が通じ合う毎日でした。
これが、家族の普通の日常なんだな~と心が満たされる日々でした。

そんな日々が2カ月過ぎたころ、Oちゃんはほとんど回復していました。
一生治らないと言われる統合失調症が、二カ月でほぼ回復したのです。
他の方と比べたわけではないので、たまたまOちゃんは初期の段階だったのかわかりませんが
深刻な様子であったことは事実です。
また、”薬なしで治る!”という直感をもとに、同じ想いで治療にあたっているお医者さんはいないかと、ネットで探しました。
そこで見つけた沖縄の稲福先生のサイトを読んだ時、自分の考えとまさしく一致して、すごく納得がいきました。夢中になって読みました。
その結果、さらなる確信をもってOちゃんと接することができたのも大きかったと思います。

あとは、何よりも、本人の強い意志は不可欠です。
「絶対に治る!絶対治す!」という本人の、Oちゃんの強い精神力のおかげで、家族のサポートも功を奏したのだと思います。


今もOちゃんは、病気になる以前と変わらない様子で元気にしています。
むしろパワーアップしたかもしれません^^;
  ただ、体調を崩したりするとまたふっと戻りそうになることがあるみたいです。
しかし、「今では自分のことを客観視できるから大丈夫」と、ひとつひとつ自分を理解していってるようです。まだ油断は禁物ですが、繊細になっていくことは悪いことではなく、むしろ良いことだと私は思います。
  
Oちゃんも「人間って不思議やわ・・・あんな世界があるんやな・・・」
と振り返ります。人生が深く、面白くなったそうです。

そして、私もそうだったように

「あの経験をしたことで、人のこともよく理解できるようになった」

と言います。


全ての出来事には意味があって

それはいつも、より幸せになるためにありました。

どんなに苦難に見えることも

決して逃げることなく、愛と勇気をもって飛び込んでいきたいと思います。
 
私たちの経験は、この病気を理解するごく一部だとは思いますが、
少しでもどなたかの参考になれば・・・と願います。

家族がより信頼しあい、絆が深まるきっかけになりますように。

ありがとうございました。

(2020年1月現在、この後一度も悪化することなく元気にしています)