☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆





気のせいかと思われた重みから ほんのりと温もりが伝わってくる。

首も身体も動かさないように目だけ動かして左斜め下を見ると
大野さんの後頭部がバスの振動に合わせて揺れている。


…ね、寝てる?

まさかね…

…え?

だって ほんの30秒前まで喋ってたよな?


「あの……」

小さく声を掛けてみる。

「………。」


少し茶色味がかった柔らかそうな髪が
目の前で揺れているだけで反応はない。


マジか…やっぱ寝てんだ…

大野さんを起こさないように注意を払いながら
少し前かがみに覗き込んでみる。

長い睫毛と少しとんがった口唇が見えた。


なんか…


赤ん坊みたいだな…


先輩の大野さんが何だか可愛く見えた。

年下の俺がそんな風に思ったなんて知ったら
「ふざけんなよっ!」って怒られそうだけどな…

大野さんの照れ臭さを隠そうと怒って見せる顔が
目に浮かんで思わず口元が緩んだ。

知り合ってからは随分経つけど
こんなにガッツリ一日中一緒にいたのなんて初めてだ。

改めて今日一日の色んな大野さんを思い出す。

華奢なのかと思っていたら意外と筋肉質な二の腕…
頼れる兄貴風に男っぽいのかと思ったら
意地っ張りのやせ我慢で…
挙句に突然 電池が切れた子供みたいに30秒で寝ちゃうなんて…

今まであんまり喋った事がなかったなんて思えないほど
楽しい一日だった。


早起きをして 一日中働いて疲れた身体に
バスの振動と大野さんの重みが心地いい。

後部座席に並んで座りながら
二人だけの空間にいる様な錯覚にとらわれる。

胸の奥がほんのりと温かくなって…



ずっとこのまま…