☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

 

 

 

 

〜Waiting for youのオマケです〜

 

 

 

 

 

「じゃぁさ…帰ろっか」

 

腕の中の智が俺の顔を見上げて

ニッコリと微笑んだ。

 

「帰るって…?」

 

どこに?

 

俺、ここに来たばっかりだし…

あっちにはもう帰れないって智も言ったよな?

 

「…ん?俺ン家。

じゃなくて、これからは俺達ン家」

 

智が俺の腕の中からすり抜けると

俺の手を掴んで歩き出す。

 

俺達ン家…?

そっか…

これからここで智と一緒に暮らすんだ。

智に言われてジンワリと実感が湧いてくる。

 

 

智ってどんなとこに住んでんだろ?

 

あ…俺、着替えも何も持ってきてないし…

どうしよう…

どっかで買えるのかな?

…って、金も持って無いじゃん。

 

三途の川を渡るために

棺桶に金を入れるって聞いた事あるけど

俺の棺桶にも ちゃんと入れてくれたのかなぁ…

でも今ポケットをまさぐっても何も入ってないって事は 

そそっかしい母さんが入れ忘れたか…

それとも…川を渡る為の金だから

あの円盤の費用に使っちゃったって事か…?

 

とにかく暫くは智に面倒見て貰うしか無いよな…

この世界の新参者だし…

 

智に手を引かれながら歩いて行くと

商店街みたいなところに出た。

 

「翔、とりあえず必要な物とメシ買ってこうか」

 

智が店先からトコブシみたいな貝とタコを選んで袋に入れる。

 

そのまま歩き出すから慌てて追いかけて

 

「さ、智!金払わないと!」

 

焦ってる俺を見て智が笑いながら

 

「金なんて要らないんだよ」

 

「え?」

 

「必要な物を好きに持ってっていいんだ。

翔も好きなモンあったら袋に入れろよ」

 

そう言われて周りを見ると

皆んな手に取った物を袋に入れながら歩いていて

金を払っている形跡は無い。

 

マジか…

 

もしかしてICチップか何か埋め込まれてて

後払いシステムになってるんだろうか?

 

とりあえず今は必要最低限の着替えやらを拝借して

詳しい事は後で聞けばいいか…と智の後を追った。

 

 

結構な荷物を持って暫く歩くと波の音が聞こえてきた。

 

「俺ン家あそこ」

 

智が指差す方を見ると 暗い砂浜に

ぼんやりと光る小さなテントが建っていた。

 

え…?

ここに住んでんのか…?

 

「家って言うか…テントだよね?」

 

「あはは…ビックリした?」

 

そりゃまぁ…ビックリしたよ。

 

 

智がテントの入り口の布を跳ね上げて中に入ると

外で突っ立ってる俺に手招きをして

 

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。

他にちゃんと家は在るから。

この前キャンプやったら 楽しくって嵌っちゃってさ。

暫くここでいいかなぁ〜…ってね」

 

そ、そうなんだ…

 

「とりあえずもう遅いし今日は俺が釣った魚と

さっき買った貝とタコでいっかな…

火を起こすから その辺に座ってて」

 

その辺と言われて周りを見回して…

手ごろな流木に腰を降ろす。

 

智が石をカチカチ鳴らすと火花が散って

息を吹きかけると魔法みたいに炎が立ち上った。

 

串に刺した魚を焼いて

貝とタコをアヒージョにして夕食を済ませると

二人並んで流木に座って焚き火を見つめた。

 

 

どうやって俺を見つけたのか…

何で俺だったのか…

智は何でここに居るのか…

一体いつから…?

 

智に聞きたい事は山ほどあるけど

何から聞いたらいいのか分からない。

 

でも…

 

時間はたっぷりある。

 

当面必要な事は

俺はここでどうやって生計を立てて行けばいいのか…

って事だ。

まだ学生だったからバイトくらいしかした事が無いけど

ずっと智の世話になる訳にはいかない。

 

「智って仕事してんの?

俺に出来る事って何か有るかな?」

 

「俺の仕事?」

 

「うん…ここに慣れるまでは

智の仕事でも手伝わせて貰おうかな…って」

 

「仕事は…特に決まってないけど?」

 

「決まってないって…

じゃぁどうやって生活してんの?」

 

「だって…金要らないし…」

 

さっきの光景が目に浮かぶ。

 

「そっか…」

 

「俺も魚釣って 食いきれない分は店に置いてくる。

そしたら誰かが持ってくし。

絵を描いて置いといたり カレー作り過ぎたら置いとくと

そしたら食いたい人が持ってくし。

そんな感じ?」

 

「へぇ〜…ガメて大量に持ってっちゃう人とか居ないの?」

 

「あはは…何のために?」

 

何のためって…そっか…

金が必要無いから売れもしなけりゃ

儲かりもしないのか…

 

「でも そうしたらサボって働かない人もいるんじゃ無いの?」

 

「ん〜…あんまり居ないかな…

皆んな出来る範囲で出来る事をやってるよ。

例えばお笑いやってる人がいたら

それ見て笑う人が必要じゃん?

皆んながそれぞれ出来る事をやりゃいいし」

 

へぇぇぇ〜〜〜…

 

「そうだ!翔は勉強を教えれば?

高校生に教えてたじゃん?

向こうで学校に通えないでここに来た子も沢山居るからさ」

 

子供たちに勉強を?

 

「若い先生は喜ばれるよ。

一緒に遊んであげたりしてさ」

 

そっか…

 

子供たちに勉強を教えて…

一緒に遊んで…か…

 

それなら俺にも出来るかな…

 

目の前のモヤモヤした不安が晴れてくると

そんな俺を見た智も嬉しそうに頷いた。

 

焚き火を見つめている智の横顔を改めてまじまじと見る。

 

睫毛を伏せた涼しげな目元と スッと通った鼻筋…

全体的に肉の薄いシャープなパーツに

アンバランスな ふっくらとした頬…

 

 

綺麗だ…

 

 

 

これからここで智と一緒に生きていくんだ…

 

そっと手を伸ばして流木に添えられた智の手に触れる。

 

智が一瞬少し驚いた顔で俺を見ると優しく微笑んで

 

「…この前の続き…してもいい?」

 

この前の続き?

 

怪訝顔の俺の頬を智の手のひらが包む。

 

あ…あの時の…?

 

焚き火の明かりが遮られると

智の口唇がそっと俺に重なった。

 

 

☆*:.。. ホントに終 .。.:*☆

 

 

 

 

 

オマケ書いたら何だかコメディ?

楽しくなって長くなっちゃった(笑)