☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

 

 

 

 

 

ビニールのカッパに激しく打ち付ける雨の音。

騒がしいノイズの中に

微かにだけど確かに聞こえた

俺を呼ぶ智の声。

 

 

「智っ!」

 

 

急ブレーキをかけながら

反射的に身体ごと後ろを振り向いた。

 

勢いよく振り向くと同時に

ハンドルが右に切れて

雨に濡れた路面が前輪を滑らせた。

 

バランスを崩した車体…

 

路面をはなれて空で回る車輪…

 

浮き上がる身体…

 

 

あ……

 

声にならない声が漏れる。

 

スローモーションみたいに

全てが鮮明に映し出されて脳に送り込まれる。

 

浮き上がった身体は

俺の胸ほどの高さの柵にぶつかると

易々と柵を乗り越えて落下していった。

 

護岸用の間知ブロックに叩きつけられて

思わず「うっ…」っと声が漏れる。

 

急勾配の間知ブロッックは

俺の身体を受け止める事もなく

そのままの勢いで転がり落ちていく。

 

凸凹のブロックに身体のあちこちをぶつけながら

不思議と痛みは感じなかった。

 

それよりも…

 

智はどこにいたんだろう…

 

残された智のことが気がかりだった。

 

俺が落ちたことに気づいて

きっと驚いている事だろう。

 

柵を両手で掴んで覗き込んでるかな?

 

濡れて風邪を引かないといいんだけど…

 

智…

 

あ〜ぁ…落ちる前に一目でも

智の顔が見れたら良かったのに…

 

目の前にまだ見ぬ智の笑顔が広がった。

 

 

そして…

 

 

俺の身体は濁流に飲み込まれた。