※このお話しは嵐さんの活動休止について書いていますので

お読みになる方はご注意ください。

 

 

 

 

 

溜息をついた翔くんが目を伏せて

テーブルの一点を見つめてポツリと呟いた。

 

「ただね…」

 

「…ん?」

 

翔くんがチラッと顔を上げて俺と目が合うと

ふぃっとそっぽを向いた。

 

「一つだけ誤算があったんだ…」

 

「…誤算?」

 

翔くんが落ち着かな気にオシボリを

クルクルと丸める。

 

「嵐の活動休止については俺も散々考えて

休止した今でも これで良かったんだって思ってる。

それは断じて嘘じゃない。

でもね…

自分でも思ってなかったっていうか…

気づいてなかったっていうか…

気づいてたけど気づいてないふりをしてたっていうか…」

 

…どうした?

何だか要領を得ない話し方がいつもの翔くんらしくない。

 

「今日 来てもらったのも…その事なんだけど…

あのさ…あの…

ビックリするかもしれないんだけど…」

 

言い難そうな翔くんを前に

何だか嫌な予感がして胸がザワザワする。

 

 

「えっと…その…

もし嫌じゃなかったら

俺と…」

 

俺と?

 

一瞬黙った翔くんが

大きく息を吸って意を決した様に

 

「俺と一緒に暮らさないかな…?」

 

えっ?!

 

思いがけない言葉に目と口が同時に大きく開いた。

 

一緒に…暮らす…?

…って言った?

 

えっと…

 

それは…?

 

俄かには言葉の意味が理解出来ない。

 

驚いて声も出ない俺に翔くんが

 

「やっぱビックリするよね…」

 

コクコクと大きく首を振る。

 

翔くんが まじまじと見ている俺から視線を外して

 

「俺さ…ダメなんだよね…

智くんが居ないと。

いっつも智くんの背中を見てきたからなのかな…

智くんが居ないと何をやっても何かが足りなくってさ…

そのうち慣れるかなって思ってたけど

全然慣れなくて…

気付いたら智くんの事ばっかり考えてて…

今まで近くに居過ぎたから

それが当たり前みたいに思ってたけど

俺…俺さ…多分智くんの事が…

ずっと す、好き…だったんだと思うんだよね」

 

一気に言葉を吐き出した翔くんが

オシボリで額の汗をぬぐった。