☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

 

 

 

 

 

「なんか…寂しいな…」

 

楽しい宴の帰り道 空の器をぶら下げながら

翔がポツリと呟いた。

 

毎年 手塩にかけた子供達が巣立っていく。

 

確かに寂しい…

 

週に二日間、図工だけしか教えていない俺ですら

寂しいと思うんだから

毎日 朝から夕方まで子供達に接している翔は

これからも送り出す度に 寂しさに襲われる事だろう。

 

「でもさ…

あの子達のふるさとはここだから。

どこに行こうとも、どこに住もうとも

あの子達の心の奥には この島がある。

それで良くない?」

 

ゆっくりと歩く足元を見つめていた翔が

 

「そっか…

そうだよな…」

 

小さく笑った翔の目は

それでも寂しそうだった。

 

翔の右手に指を絡めて軽く握る。

 

「俺はずっと翔のそばにいるから…」

 

翔が驚いた顔で俺を見る。

 

「島での楽しい思い出を沢山作って

一緒に俺達の子供を送り出そ?」

 

ね?

 

翔の顔を覗き込む。

 

俯いていた翔が顔を上げると

晴れやかな笑顔になった。

 

「そうだな。

楽しい思い出を沢山作んなきゃな。

それが皆んなの生きる力になるように…」

 

キラキラ輝いていた海はオレンジ色に染まり

夕陽が俺達を包んでいる。

この島の夕陽も きっとあの子達の心に焼き付いているはず。

 

この先に訪れる人生の転機や

辛い事、苦しい事があった時に

この島を思い出して欲しい。

 

いつでも温かく迎えてくれる…

 

子供達の心のふるさと。

 

 

俺のために島に来て

俺の絵を守ってくれた翔。

 

これからは俺が翔の夢を守っていく。

 

いや…

 

違うかな。

 

一緒に作っていくんだ。

 

子供達のふるさとと

俺と翔の夢を…