☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

 

 

 

 

僕らがつないでいく…シリーズです。

初めての方はこちらから→島の二人

 

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開け放った窓の向こうに鮮やかな新緑と

その先に見える青い海。

晴れ渡った空から降り注ぐ陽射しにキラキラと輝いて

俺達の住む島にも心浮き立つ季節がやってきた。

 

 

「これで良し!っと…」

 

刺身の盛り合わせの皿を風呂敷で包んで

端をきゅっと結んだ。

 

仕度を済ませて台所に顔を出した翔が

 

「おっ?準備OK?」

 

「うん!そろそろ行く?」

 

翔が腕時計をチラッと見て

 

「ちょっと早いけどオバちゃんとこに寄るから

もう行くか…?」

 

戸締りをして二人並んで坂道を下る。

 

春先は寒い日が続いて 卒業式は凍えるほど寒かった。

でもそのお陰で桜の開花期間が長く

今年の入学式は満開の桜で迎える事ができた。

 

あれからたった1ヶ月しか経っていないのに

5月の大型連休も後半になると

今日の陽射しは暑いくらいだ。

早足で少し汗ばんだ肌に

海から吹き抜ける風が爽やかで気持ちがいい。

 

「皆んな元気だったかなぁ…

高校生だもんなぁ…

一気に大人っぽくなってたりして…」

 

「まだ1ヶ月だよ?

そんなに変わってないって」

 

嬉しくてスキップでもしそうな勢いの翔に

俺も自然と笑みがこぼれてくる。

 

この春に中学を卒業した子供達が

この連休で島に帰ってきて

今日は小学校の教室を借りて同窓会が催される。

 

島には高校が無いから中学を卒業すると

ほとんどの子供達が島を離れていく。

 

今年中学校を卒業した子供達は

翔にとって初めての教え子。

島に移り住んで臨時採用となった小学校で

初めて受け持った6年生だ。

 

その子達が中学を卒業する。

卒業式に参列した翔は人目も憚らずに泣いた。

 

春休みに次々と島から旅立つ子供達を

毎日桟橋まで見送りに行って

船が見えなくなるまで手を振りながらまた泣いた。

 

まだあどけなさの残る15歳の我が子を

手放さなければならない親の気持ちはいかほどか…

それなのに我が子を送り出す親達に

 

「先生、毎年こんなに泣いてたら干からびちゃうよ」

 

肩を叩かれて逆に慰められたと

腫らした瞼で帰ってきて笑った。

 

 

 

 

ほんの少し続きます。