☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

 

 

 

 

 

「翔くんと ちゃんと話ができて良かったよ。

あのままだったら翔くん絶対に

打ち上げで飲みすぎて悪酔いするもんな」

 

「そんな事…」

 

「…無い?」

 

いや…無いとは言い切れない…

 

黙り込んだ俺を見て智くんが笑った。

 

「ひどい顔してたもんね…

最後のカットの前なんか…」

 

最後のカット…

 

智くんと俺のキスシーン…

冷たくて何の感情も無い口唇…

 

虚しくて…

寂しかった…

 

でも気持ちを伝え合った 今

智くんの口唇の感触が蘇ると

今までのモノクロだった智くんとのキスが

俄かに色味を帯びて現実のものになる。

 

 

「さて…っと!

そろそろ行く?

俺、トイレ寄ってくからさ。

翔くん先に…」

 

そう言いながら

立ち上がりかけた智くんの

左手をとっさに掴んだ。

 

一瞬驚いた智くんの顔…

 

あぁ…さっきと同じだ…

 

またもドラマと同じ展開に

ちょっと可笑しくなって顔がほころぶと

智くんの表情も柔らかくなった。

 

掴んだ手を俺が引き寄せたのか

それとも智くんが俺を手繰り寄せたのか…

 

自然に寄り添う形になった。

 

智くんの顔が目の前にある…

 

智くんを見つめると

その黒目がちな瞳に俺が映った。

 

俺の瞳の中の智くんを

智くんも見つめている。

 

智くんの視線が下がって俺の口唇を捉えると

長い睫毛を伏せた智くんが

ゆっくりと近づいてきた。

 

俺もゆっくりと引き寄せられる。

 

 

「智くん…好きだよ…」

 

吐息に乗せて呟くと

智くんがほんの僅かに微笑んで

小さく頷いた。

 

 

見えたのは…

 

ここまで…

 

 

俺の口唇に触れた

柔らかく暖かい感触…

 

智くんの口唇は

さっきとなんら変わらないのに

お互いの気持ちが重なり合うと

こんなに胸が締め付けられるのものなんだ…

 

ずっと夢見てきた智くんとの…

 

 

そう…これが俺達の…

 

 

初めてのキス…

 

 

 

☆*:.。. 終 .。.:*☆

 

 

※21:30にご挨拶に登場します。