☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆





「さてと…」

智くんが辺りを見渡して

「今の時期だと日没が6時半くらいだから
今から帰ったら 丁度いい時間かな…
じゃぁアンカーあげるね〜」

船首でロープを掴んだ智くんが

「あれ…?」

ギョッとした顔で振り向いて俺を見る。

「なに?どうかした?」

智くんの ただならぬ様子に近づいてみると

智くんが軽々とロープを引っ張り上げる。

引っ張り上げられたロープの先は
無残にも引きちぎられていた。

え…?

「何で切れたんだろう…」

智くんが呆然と呟く。

確かに船を留めるためのロープなんだから
普通はそう簡単に切れるもんじゃない。

「でもまぁ…もう帰るだけだし…」

どうせ引き上げるところだったんだからと
軽く考えた俺とは相反して
智くんが深刻な顔で海面を見て

「流されてるかもしれない…」

「え…?」

俺も海面に視線を向ける。

「いつ切れたんだろう…
どんくらい流されたのかな」

智くんが慌てて船室に戻ると
海図を広げて方位計と太陽の位置で
現在位置を確認する。

「結構流されてるのかな…
もしここまで来てたとしたら
このラインは潮の流れが速いから
結構やばいかも…」

マジか…

「明るいうちに帰れない感じ?」

「ん〜…ちょっと微妙だな…
でも陽が沈んでも暫くは明るいからね。
ギリ間に合うかな」

「じゃぁ急がなくちゃ…」

俄かに慌しくなる。

朝と同じように智くんが
船尾と船首の安全確認をして舵を握った。