「へぇ~…結構ちゃんと片付いてるじゃないですか…」

無事に引っ越したとLINEしたら
早速ニノがやってきた。

学校帰りの翔くんと待ち合わせをして
買い出しをしてきたばっかりだから食材も有るし…

「ニノも一緒にメシ喰ってけよ。
ビール…もとい!発泡酒も有るし」

「晩メシなに?」

「ん?ハンバー 『頂きます!』 グ…」

「すげー被せてきたな」

呆れ顔の俺に

「ハンバーグなんて作るんだ?」

「今日はね。引っ越しも完了したからさ。
ん~…お祝い?
翔くんも手伝ってくれるって言うし…ね?」

翔くんを見ると目をシバシバさせて
ぎこちなく頷いた。



翔くんが米を研いでる横で
玉ねぎを切りながら

「翔くん、お母さん居ないのに何で料理出来ないの?
普通お母さん居なかったら
代わりにメシの仕度とかするんじゃないの?」

素朴な疑問を投げかけてみると

「俺ん家ってクリニックと家が繋がってるじゃん?
だから親父が昼休みの時に作ってたからさ…」

なるほどね~…

「初めて米研いだのもバイト始めてからだし…」

「えっ!!!」

驚いて目を剝いている俺に慌てて

「あ!でも教えてくれたら何でもやるから!
簡単な事から…パン焼いたりさ…
うん!…頑張るから…」



「翔くん…炒めるだけだから、これ混ぜてて!
焦げないようにかき混ぜるだけでいいから…」

「翔くん、テーブル拭いて…」

「翔くん、お皿出して…」


意外にも翔くんは…

驚くほど料理は出来ないけれど
流石、弁当屋でバイトしてるだけあって
指示をすれば的確に動いてくれて
割といいコンビネーション…だと思う。

何だか、協力し合ってる!って感じがしてさ…

これも案外悪くない…よね?