途中のコンビニでビール…もとい!発泡酒を買って
商店街を抜けて一本路地を入ったところの弁当屋で
唐揚げ弁当と焼き肉弁当を買う。

引っ越してすぐに、いい匂いに誘われて
この弁当屋を見つけた。
メイン通りから外れているけど
美味しいと評判らしくて
いつも結構客がいる。

基本は自炊だけど
忙しい時とか面倒な時の事を考えると
こう言う店が近くに在ると有難い。

弁当とコンビニの袋をぶら下げて暫く歩くと
アパートが見えてきた。
駅からの距離は、あのボロいアパートと
大して変わらないかな?

手前の工場はまだ明かりがついていて
道路際の事務所にもまだ活気が感じられる。



アパートの敷地に入りコンクリートの廊下を歩く。


どうしよう…

こーゆー時って…

自分で鍵を開けて入るのかな?
それともピンポンって鳴らす?…のかな?


ピンポ~ン♪って鳴らしたら
室内からパタパタと小さな足音が聞こえて…
そしてカチャッとドアが開くと
翔くんが「おかえり~」って笑顔で出迎えてくれる…


ちょっと想像したら自然に顔がニヤケて
想像している自分が恥ずかしくて
一気に顔が熱くなった。


ちょっと…

ヤバいだろ…

やっぱり止めよう…



ポケットから鍵を取り出して
鍵穴に挿すと青い魚のキーホルダーが揺れた。

カチャ…

そぉ~…とノブを廻して引っ張ると
細い隙間から灯りが一筋漏れて…


居るっっっ!!!


当たり前だけど…(笑)


自分で自分に突っ込みながら
ゆっくりとドアを開けて首を突っ込むと

「ただいま…」

小さく声を掛けてみる。


「………。」

あれ?

居ないのかな?


でも玄関には翔くんの靴がある。

自分の家なのに、何となくコソコソと靴を脱いだ。