「翔く~ん…ちょっとこれ持って…
上のやつ…」

段ボール箱を二つ積み上げたものを抱えて
和室からヨロヨロと出てきた智くん…

箱を重ねているから顔が見えない。
…って事は前が見えてない?!

急いで上の一個を持ち上げて

「足元が散らかってるから危ないよ!」

と言いながら
ふと智くんの肩に掛かっている布製のバッグに
目が吸い寄せられた。

「あ…そのバッグ…」

ん?って顔の智くんが左肩のバッグを見る。

「あぁ…これは父ちゃんが買ってくれたアートセット…」

それが何か?
訝し気な智くんに

「そのバッグ…俺も持ってる…」

「へっ?」

小学生が学校に行く時に持っていく布バッグ。
当時人気だったアニメのキャラクター柄が
全面に散りばめられている。

「懐かしいなぁ~このキャラクター…
智くんもこれ持ってたんだ?
凄い偶然じゃね?

でもあの頃は流行ってたもんな~
同じの持ってても不思議じゃないか…
俺が小学校に入る時に買って貰った…
ん?違うな…貰ったんだ。
スゲー嬉しかったの覚えてるもん」

また智くんとの共通点を発見して嬉しくなる。

智くんが驚いた顔をして

「え?同じのは無いはずだよ?
だって…コレ母ちゃんが作ったんだもん…だよね?」

智くんがお母さんを見るから
俺も驚いて智くんのお母さんを見ると
お母さんが目を丸くして俺とバッグを交互に見た。