校長室での堂々とした頼り甲斐のある翔が
俺の前では子供のように拗ねて甘えてみせる。

カッコいい大人の翔と…
可愛い子供みたいな翔…

毎日一緒に過ごしているのに…
そんな翔のコロコロ変わる表情に その都度ドキドキして…
俺の身体中から "大好き" が溢れてくる。

翔がいれば大丈夫!
翔がいてくれたら他に何も要らない…
翔と一緒ならどんな困難が待っていようとも 立ち向かっていける。

昨日まで あんなに不安だった事がウソみたいに自信と勇気が湧いてくる。


「さぁ!翔 行くよっ!
あ!ついでにオバちゃんとこでメシ食わして貰おっか?」

「おっ!いいね〜!オバちゃんわざわざメシ持って来るの大変だから
俺、帰りに取りに寄るって言ってたんだ。
じゃぁそのままオバちゃん家で食わして貰おうぜ!
智が元気ないって二人とも心配してたからさ。」

「そっか…」

左手の包帯に目をやると…
心配そうに眉をひそめるオッちゃんとオバちゃんの顔が目に浮かんだ。

「心配かけちゃったな…」

ポツリと呟くと翔が俺の頭をクシャッと撫でて

「もう大丈夫だろ?
顔見せて安心させてやろ?」

…な?って笑顔の翔に顔を覗き込まれて

「うん!」

大きく頷いて…

…あ…そうだ…

「さっき校長先生が言ってたオッちゃんとオバちゃんの馴れ初めって何だろうね?
恋愛結婚なのかな?
そんな訳ないか…
ちょっと後で聞いてみようか?」

クスクス笑うと

「あれ?智は知らなかった?」

え?…何が?

「オッちゃんとオバちゃんって…駆け落ちして来たんだって」

え?

「えーーーっ?!!!」

思わず立ち止まって大声を出した俺に 翔が得意げに笑った。