背中に翔の体温と規則的な寝息を感じながら
眠れずにいた。

口さがない人達…

一部の人達がくだらない事を…



それって…俺達の事…だよな…


花火大会の日に

「俺は隠すつもりは無いよ。
自然でいいんじゃね?」

翔はそう言ってくれて
その時は俺もそう思ったけど…

でも…

理解のある人達ばかりじゃない。
東京では一部の区で同性同士のパートナーが
認められる様になったとは言え
一般的には まだまだ理解を得られる方が難しい。

ましてや翔は…教師だ。

子供に悪影響を及ぼすと考える親は少なくないだろう。

もし…俺との事が大問題に発展して
教師の夢を追われる事になったら…

心が凍りついた…

俺の為に会社を辞めて島に来て
新しい夢を見つけた翔が…
あんなに楽しそうに子供達の事を話している翔が
教師で居られなくなるなんて…

また俺のせいで翔の夢が絶たれるなんて…


くの字で横になっている俺に
密着するようにくの字で寝てる翔から
少し身体を離して…
寝返りを打って翔と向かい合う。

いつも俺を見つめる大きな瞳は閉じられて
長いまつげが瞼を縁取る…
軟らかい髪…
ひと夏ですっかり日焼けした肌…
ふっくらとした唇…
逞しい腕…


翔…

ゴメン…俺…

いつかこんな事になるんじゃないかって
本当は心のどこかで思ってた…
でも…気づかないふりしてた。
翔が居なかったら俺…

そう…俺は自分の事しか考えずに
翔を巻き込んだんだ。

島じゃないと描けない…
翔がいないと描けない…

翔の事が好きだから…
翔が欲しくて…

俺の我儘を押し通して…
翔に夢を捨てさせたんだ。



そしてまた…