「大野先生、お疲れ様です」

今日の放課後、帰る支度をしていたら
校長先生に声を掛けられた。

「あ…お疲れ様です」

「私は…そう言うのに疎くて知らなかったんですが
大野先生は今人気のイラストレーターだそうですね?」

「いや…人気かどうかは…」

「大野先生がいらしてくれてから
子供達の図工の授業への取り組み方が
すっかり変わりましたよ。
皆んなイキイキとして意欲的になりました」

子供達と一緒に掃除や草むしり
放課後は校庭で鬼ごっこ。
保護者達や地域の人達の人望も厚く
子供達にも人気の校長先生に真っ直ぐ見つめられると
お世辞じゃないことが伝わってきて嬉しくなる。

「大野先生と櫻井先生は幼馴染だそうですね?
櫻井先生は何か言ってましたか?」

え…?なにか…?

訝しげな顔をしている俺に

「あ…聞いてませんでしたか…
まぁ…プライベートな事ですから
ルームシェアをしてると言っても…ですよね」

なんだろう…
不吉な予感が纏わり付いて胸がざわつく…

「なん…ですか?もしかして異動…とか?」

「あ?いやいやそれは無いです!
今、櫻井先生に異動されたら困りますからね…
それは私が全力で阻止しますよ。
むしろ逆…ですかね。」

軽く笑った校長先生が

「実は…私の友人の娘さんを櫻井先生に
紹介しましてね…
まぁいつまでも大野先生の家に居候って訳にも
イカンでしょうから、ここらで身を固めて
島に落ち着いて頂こうかなって思いましてね」


え…?