丘を下って左に曲がるとホームの入り口が見える。

「あっ!ショーだっ!ショーが帰ってきたっ!」

ホームの入り口を入ると
真っ先に俺達を見つけたユーヤが走ってきた。
周りにいた子供達も一斉に集まってきて

「マザー!ショーだよーっ!」

「ショー!おかえりーっ!」

「どんなだった?!早く話し聞かせてよ!」

子供達に揉みくちゃにされているショーを
少し離れたところから見ていると
自然に笑みがこぼれてくる。

「良かったわね…無事に帰ってきて…
あの顔は…良かったって…ことなのかしら?」

子供達の声を聞いて顔を出したマザーが
俺に微笑みかける。

「うん…素晴らしい人達だった…」

「そう…良かった…
サトも安心したわね。
もう…見せたの?」

「ううん…まだ内緒…」

「そう…楽しみね。きっと喜ぶわ…
昔っからショーは貴方の事が大好きだったものね」

「え…?何でマザーまで?」

「あら…気づかなかったの?
皆んな知ってるわよ」

皆んなって…そうなの?
俺って…もしかして鈍感…?
あの時ショーに言われるまで全然気づかなかった…

俺がびっくりした顔をしていると
呆れた様に笑ったマザーが

「サトの気持ちに気づいてたのは私だけだったけど…」

「え?……あ…なんで…?」

ビックリして しどろもどろの俺に

「サトは…ショーになら甘えられる?
サトは弱音を吐いたり
誰かに甘えたりすることが苦手だから…
それが一番心配…」

「マザー…」

「ちゃんと甘えなさい。
寂しい…悲しい…苦しい…
ぶつけてごらんなさい。
ショーなら受け止めてくれるわ。
甘えられるとね…嬉しいものなのよ。
特にショーみたいな子はね…
サトに甘えられたら きっと百人力よ!」

「うん…
ありがとう…
やっぱ…何でもお見通しなんだね」

「それはそうよ!
所長が貴方を抱いてここに来て
一番最初に貴方を抱いたのは私なんですから…
それからずっと…そうずっと見てきたんですもの」