ひとしきり笑った後

「サト…」

翔ちゃんが俺の目を見て

「ショーの事…頼んだよ?」

親も親戚もいない俺達に
同じ遺伝子を持った翔ちゃんと大野さんがいる。
ずっと前から知っていたような…
気持ちが自然と寄り添うような…
そんな気がした。

「ずっと…離れません」

翔ちゃんの目を見て答えて
大野さんを見る。


…ありがとう…

気持ちを込めて大野さんを見つめると
大野さんが優しく笑って小さく頷いた。





二人と別れて意識は さっきの丘の上。

暫し風に吹かれながら…
俺は初めて会った二人に思いを馳せ…
ショーは あの二人との想い出に浸っていた。

「ショー…ありがとう。
あの人達に会わせてくれて…」

「サトは…会ってみて……良かったの?」

俺の気持ちを慮って心配そうな顔のショーに

「うん!もちろん良かったよ。
二人とも真っ直ぐな、綺麗な心の人達だった。
会えて良かったよ…会えて嬉しかった。
翔ちゃんにも…大野さんにも…」

ショーの逞しい腕が俺を抱きしめる。
風の音と木々のざわめき…
ショーの鼓動と体温が俺を満ち足りた気持ちにしてくれる。

「サト…」

「…ん?」

見上げるとショーの唇が降りてきた。

俺の存在を確かめるような優しいキス…
小さなキスを繰り返し

「会えなくて苦しかった…」

「大袈裟だな…
たった3週間じゃん…」

「3週間じゃないよ!
あの後 直ぐに研修が始まっちゃったんだから…
もっと前からじゃん」

子供みたいに口を尖らす。

「だって…それは仕方ないだろ?
ショーが行きたいって希望したんだからさ」

「そりゃぁそーだけど…でもさ…」

拗ねてるショーの耳元に唇を寄せて

「じゃぁ…帰ろ。一緒に…俺達の家に」

「俺達の家か…」

ホームに帰ったら子供達にまとわりつかれるのが目に見えている。

「二人っきりになれるのは、当分お預けって事か…」

ショーが溜息をついた。