何も映し出さない白い壁と
床に転がった無機質なインプットギア…

思いがけない事の連続に
二人で呆然と座り込んでいた。

ボンヤリとしたままの智くんが
インプットギアを見つめながら

「翔くん…俺…夢を見てたみたいなんだけど…」

色んな出来事を現実として受け入れようと
必死で頭を整理しようとするものの
すっかり容量オーバーでショート気味の智くん…

そりゃそうだよな…俺だって…


「じゃぁ…一個ずつ整理するよ?」

俺がゆっくり話しかけると目を伏せて素直に頷く

「まずは…ショーは俺の遺伝子から生まれたんだから
俺の子孫じゃなかった…これはOK?」

「…うん」

「だから俺が結婚しなくても未来のショーには
なんの影響も無い…OK?」

「…うん」

「だから俺が智くんのそばにずっと居ても大丈夫…OK?」

「…う…ん」

「俺は智くんが好き…O…K…?」

「……う………ん…」

「智くんは…俺の事が…好き…?」

ボンヤリしたままの智くんが小さな声で

「…う…ん」

智くん…

背中を丸めて俯く智くんに にじり寄って…
ふんわりと優しく肩を抱く

「智くん…ずっと好きだったんだ…」

「…う…ん」

「今まで…怖くて言えなかった…
言ったら…今までの関係が壊れちゃうように思えて…
だから…智くんの将来のためにって…
そう自分に言い聞かせて…誤魔化してたんだ」

智くんの顔を覗き込むと智くんは
俺の視線には気付かないで
思考の止まったような顔をしてボンヤリと頷く

「…うん」