ショーの翔くんは…

完璧だった。

最後の言葉で長時間の番組を締めくくった時
ステージ上に立っているのが実は翔くんじゃないなんて
俺たち以外に気付いた者は居ない。

舞台の袖でショーを待って
一緒に俺たちの楽屋に向かう。

廊下を歩きながらスタッフや他の出演者たちと
笑顔で挨拶を交わしながらも
メンバー同士は一切目を合わせる事がない。

目が合ってしまったら…
この不思議な出来事を口にせずにはいられないから…

長時間の生番組とライブが終わった高揚感も充実感も
全て得体の知れない不安に飲み込まれて行った。

全員が楽屋に戻ると最後に入ってきた松潤が鍵を閉め…
カチャって音が乾いた空間に響いた。

みんな着替えもせずに突っ立ったまま
床に視線を落としている。

何を…何から話したらいいのか分からない…
みんなが同じ様に混乱していた。





「ごめん…」

誰にともなく小さく謝ると
大野さんが小さく頭を振って

「俺たちは…ショーに助けてもらったんだ…
礼を言う事はあっても謝られる事なんて何もないよ…」

俺の目を見てキッパリと言うと
他の三人もハッとした様に顔を上げて
目を見合わせて頷いた。

「俺…嘘ついてたから…」

「嘘?…どっからが…?」

ニノに優しく問われると
緊張が解けて涙が出そうになる。

「最初から…
翔ちゃんの従兄弟だって事も、アメリカから短期留学で
日本に来たって事も…」

最初から全部嘘だと聞いて…相葉ちゃんが怯えた顔で

「じゃぁ…ショーは…誰?
本当はどこの…誰なの?」

「俺は…」

床に視線を落として一瞬ためらった後
みんなを見渡して

「俺は300年先の未来から来た
翔ちゃんの子孫…」