ショウくんの言葉に
俺の中の青い炎が静かに燃え始める…



嫌じゃないって…?

ショウくん…それ本気で言ってんの?

まさかね…

単に感情的になったカッコ悪い自分を
見せたくないだけだろ?

相変わらず…正論ばっかりなんだよな…



でも俺は…

そんなキレイ事が聞きたくて来たわけじゃない…

薄っぺらな笑顔じゃなくて…

嫉妬の炎に焼き尽くされそうな…
苦しげに…歪んだ顔が見たいんだ…

それとも…

本当に最初からそんな感情は持ち合わせていないって事?


ショウくんの本心をえぐり出したくて
ショウくんの胸に額を付けてまま小さな声で呟いた

「我儘…言っていい?」

「えっ?」

「嫌だって…言って…?
一回だけでいいから…
ラブシーン…嫌だって…
ショウくんが嫌だって言っても
止めるわけにはいかないけど…
でも…俺…」

「サトシくん…」

「それとも…ホントは俺が誰とラブシーンやっても
全然何とも思わないんだ?ショウくんは…」

「そんな…俺は…」

「そっか…気にしてたのは俺だけで
ショウくんにしてみたら、何て事ないんだよな…?
はは…バッカみてぇ…」

ショウくんが…一瞬息を止めた後
俺を強く抱きしめると

「そんな訳ないだろ!
…嫌だよ…
嫌に決まってんじゃないか!」

絞り出すように震える声…

「ゴメン…俺…カッコつけて嘘ついた。
サトシくんが仕事とは言え他の人と…
最初に聞いたときは、ヘラヘラ笑いながら話してるソイツを
殴りそうになった…
でもサトシくんのドラマ見て…
あぁ…サトシくん…頑張ってる…
俺が邪魔しちゃダメだって…
頑張って…無理して自分に言い聞かせてた」

ショウくん…

「ホント?」

「うん…7話…だっけ?
俺…冷静に見れる自信ないけど…」

ショウくんが眉毛を下げて情けない顔をする。



「あのさ…一緒に見てよ」

「…えっ」

「7話…一緒に見よ?」

「サトシ…くん」

ショウくんが苦しそうに顔を背けて

「ダメだよ…」

「…ダメ?」

「俺…冷静に見れないって言ったじゃん…
隣にサトシくんが居たら…
俺…何するか分かんない。
嫉妬に狂ってサトシくんに酷い事を言うかもしれないし…
酷い事を……」


そう…

俺が欲しいのは…


ショウくんの首に腕を回して息を吹きかけながら
耳たぶを軽く噛む…

「いいよ…」

少し身体を離して正面から見据えると
ショウくんが一瞬驚いて目を大きく見開いた後…

表情が変わる。

ショウくんが俺の瞳の奥に青い炎を見出した瞬間
いつもは隠されているショウくんの心の奥の種火が
一気に炎となって吹き出した…


噛み付く様な荒々しく…激しいキス
俺の魂からその記憶を奪い取る様な…


そうだよ…ショウくん…

そのシーンを撮っている時に
俺の前にいるのは相手の女優さんじゃない…
レンズの向こう側の…

ショウくん…

ショウくんが思わず我を忘れるような…
そんなシーンを見せつけて…

ショウくんを狂わせたい…

いつも冷静なショウくんの剥き出しの感情が欲しいんだ…



嫉妬の炎に悶え苦しむショウくんに


狂った様に


愛されたい…




ショウくんの…赤く激しい炎に


焼き尽くされたいんだ…



☆*:.。. 終 .。.:*☆