俯いていたサトシくんがハッとしたように
俺を見て…目をそらす

「ショウくん…なんで…」

なんで知ってたの?…って…?
そんなのとっくに気づいてたよ…
ずっと見てたんだから…

「岡田っちは悪くないんだ!
俺が…俺が健くんにも…
誰にも言わないからって頼んだんだ!」



「大野…お前…岡田と?」

突然声を掛けられて二人同時に振り向くと
いつの間に来たのか健くんが怖い顔をして
ドアのところに立っていた。

「最近岡田とコソコソしてると思ったら…
やっぱりそういう事だったのか…」

「健くん…違うんだ…俺が…」

「痛い目にあうからやめろって言ったよな?
事務所にバレたらどうするつもりなんだ!
お前だけの問題じゃ済まなくなるんだぞ!」

事務所にバレたら…って…
何だよ…それ…
なに他人事みたいな事 言ってんだよ!

怒りの矛先が健くんに向かう。

「そう言う問題じゃないだろっ!
こんな…こんな事になって!アザだらけじゃないかっ!」

健くんが醒めた目をして俺を見て

「俺は最初に大野と…でも一回やっただけだし…
あんなのお遊びみたいなもんだろ?
あの時…これでもぉ止めとけって…そう言ったはずだ…
そうだな?大野…」

なん…だと…?
お遊びで…やっただけ…?

一気に怒りのメーターが振り切れた

「遊びで…ってなんだよっ!!!
そのせいでこんな事になってんだろっ?!」

怒りに任せて健くんの胸ぐらを掴んで壁に押し付ける

殴りかかりそうな勢いに

「ショウくん!やめてよっ!ダメだよっ!
俺が悪いんだから!健くんは…」

サトシくんが俺と健くんの間に割り込んで引き剥がす

怒りに拳を握りしめている俺に健くんが抑えた声で

「櫻井…誤解すんなよ…
最初に言い出したのは大野だ…
大野の方から始めたいって言ったんだ」

ぐっ…

何も言えず唇を噛み締めている俺を一瞥した後
サトシくんに視線を移して

「岡田を連れてくるから…ちゃんと自分で話し付けろ!
分かったな…」