歌番組の収録で健くん達に会った。

「終わったらみんなで飲みに行こうぜ~!」

イノッチがみんなに声をかけると後輩たちは大喜びだ。
先輩よりも後輩の数の方が多くなった俺達も
先輩と一緒にいる時はすっかりJr.の頃に戻ってしまう。

健くんがサトシくんの肩に手を掛けると

「大野も行くだろ?」

「え…ぁ…」

「なに?行かねーの?
今日はここで終わりだろ?用でもあんの?」

「あ…うん…ちょっと今日は…」

サトシくんが気まずそうに視線を泳がせて…一瞬止まる。
何事もなかったように健くんを見て

「ごめんね…」

「そっか~…じゃぁ仕方ねーな!
気をつけて帰れよ!」

健くんがサトシくんの肩をポンポンって叩いて
スタジオから出て行った。

ボンヤリと健くんの出て行ったドアを見つめているサトシくんに

「用事が有ったんだ…?」

サトシくんの身体がビクッとして

「あぁ…ショウくんか…」

俺の存在なんて全く視界に入ってなかった様子に
なぜか少しイラっとする。

「健くんの誘いを断るなんてさ…」

「うん…ちょっと約束があったから…」

俺の顔からチラッと視線を外して俺の後ろに目配せをする。

ん?…なに?

振り返ると…
スタッフの輪の中にいる…岡田…くん…?


多分きっと…

俺が振り返る0.1秒前にサトシくんと視線を交わしてた…

そんな残像が見えた気がした。



え…?…な…に……?

約束って…もしかして岡田くんと?


サトシくん……

健くんと…
付き合ってるんじゃないのかよ……