嫌な事?
何となく言いにくそうにしている智から
無理に聞き出すこともないか…

「もしかして…女に振られたとか?」

「まぁ…それもある」

「…っ!なんだよ…
冗談のつもりで言ったのに…図星なのかよ!」

「ははは…別に振られたから島に逃げてきたわけじゃねーよ!
島に帰るって言ったら「あっそ…」って言われて
バイバイ…って話し。
こっちも別に結婚するつもりだった訳じゃないし
未練が残るってほどでも無かったから…」


…智にも恋人が居たんだ…

そんなの当たり前なのに…

「泣くなよ」

「な、泣いてねぇや!」

「泣きそうな顔してる…
翔だって…居ただろ?…恋人くらい…」

恋人か…

居たよ…しかも、ついこの前まで…
なんか…遠い昔の事みたいだ。

「俺なんて島に来てから喋んのなんて
オバちゃんばっかだもんなぁ~…
しかも結構モテんの…俺」

二人で声をあげて笑っていると

「智~…上がるよ~…あ!もぉ飲んでる!」

雅紀が賑やかに入ってきた。



結局、酔いつぶれた雅紀も泊まって
夜が明けてから慌てて帰っていった。

朝飯を食いながら今日の予定を相談する。

「翔は何したい?どっか行きたいトコとかは?」

やりたい事や…行きたいトコ……