先に車から降りた松本が「じゃぁね~」と手を振る。
手を振り返しながら車をスタートさせると

ふ、二人っきりだ!!!心臓がバクバクする。
ど、ど、ど、どーしよう…
バックミラーでサトシくんを見ると
窓の外を見ながらボンヤリしてる。

なんか…

楽しくなかったのかなぁ…
邪魔する松本にイラついてばかりで
気づかなかったけど、思い返してみると
あんまり笑って無かった?
考えてみたら、俺達ってアレからあんまり
喋ったりしてないよね?

サトシくんのマンションの近くで車を停めて
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

「サトシくん。ちょっと話しをしても…いい?」

バックミラー越しにサトシくんと目が合う。

「…うん。俺も…話したい事があったんだ。」

「話したい事?…なに?」

少しの沈黙の後…

「俺ね……
ショウくんの事が好きだって言ったけど…
でもね…多分ショウくんが考えてる様な…
そう言う付き合いをするつもりは…ないんだ。」

えっ?なに?どーゆー事?
ミラーに映るサトシくんを見ると…
決意を込めた目をして俺を見つめていた。


ナニヲ イッテルノ?


俺と…付き合うつもりはないって…事?

サーっと血の気が引いて…
何も考えられなくなる。
口の中が乾いて…息がつまる。

「……な…んで?」

やっと絞り出した…掠れた声。

「ゴメン…ね。気を持たせるような事を言って…
早くちゃんと言わなきゃって思ってたんだけど…
ショウくんの笑顔を見てたら言えなかった。」