日本のGDPがドイツに抜かれたと大騒ぎしたのが2月。ドイツのシュピーゲル誌にも紹介されていました。

しかし・・・大したことがないのに大騒ぎし、大したことではないのですぐ忘れたり、飽きて別の話題に飛びつくという日本人特有の性格なのか分かりませんが、今はどこへやら!もっとも、GDPがドイツに抜かれたのは円安とドイツのインフレによる影響が大きく、NHK国際ニュースナビを見ると実質抜かれていないという数字がありました。

抜かれたという実態がこういうことなので、気にしていない・・・人口比を考慮すると少しは気にした方が良いのではないかと思いますが・・・ドイツと日本の生産性の違いが指摘されていました。これは大いに気にしなければならないと思います。

先進7ヵ国中最下位!実は昨年だけのことではなく、何年も続いています。日本の労働生産性が低い理由として、遅くまで残っていることが会社に対する忠誠心の現れという旧態依然とした意識が根強く、給与が時間基準であり、効率を上げるという意識が低いことなどが挙げられています。酔わないと本音が言えないのか、飲みにケーションとやらで遅くなることも珍しくありません。この仕事、今やることかと思うものや、同じ様な資料を複数作ったり、どうでも良いことを書き直させられたりすることもありましたが、バカバカしいと思いつつもやってきたのがサラリーマン時代でした。も続いていると思います。そんな中、こんな本を見つけました。『どうでもいい仕事』・・・

著者のグレーバーはNY生まれの経済評論家ですが、どうでもいい仕事のことをブルシット・ジョブと呼ぶのだそうです。彼の定義するブルシット・ジョブをそのまま流用すると次のとおりです。

①誰かを偉そうに見せるための取り巻き(受付係、ドアマンなど)

②雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋(ロビイスト、顧問弁護士など)

③誰かの欠陥を取り繕う尻ぬぐい(バグだらけのコードを修復するプログラマーなど)

④誰も真剣に読まないドキュメントを延々と作る書類穴埋め人(パワーポイントを量産するコンサルタントなど)

⑤人に仕事を割り振るだけのタスクマスター(中間管理職など)

 

必要性を理解していない③や、⑤の手配師的な仕事をする人がいないとプロジェクトが進まないことを知らない実務経験のない評論家ならでは見方や( )内コメントに異論はあるものの、思い当たるものがあります。私は日本の最たるブルシット・ジョブは、ほとんど実行する気のないセレモニ的な中期経営計画策定のための資料作りを筆頭に、不要不急な資料作成や、どうでもいい会議ではないかと思っています。特に会議は、その回数、勤務時間に占める会議時間、時間当たりの生産性などから見れば、最たるブルシット・ジョブだと思います。その理由をザッと挙げてみると以下のとおりです。

 

①議題がなんであるかを知らないまま出席する者がいる

②議題を理解しないまま出席する

③会議時間内では見切れない量の資料が配布される
④持ち帰っても見ない
⑤意見を述べない発言0の出席者多数

⑥不必要に参加を要請される部門もある

 

箔をつけるためか、出席人数が多い/職位が高い者が多く参加するほど重要な会議という認識もあります。その出席者が上記①~⑥というのだから、困ったものです。また、トップが招集し議長を務めるところでは、『何か意見、質問はありませんか』に対して質問すると不機嫌になるという場面に何回も出くわしました。あまり触れたくないことへの質問だったり確認だったりすると『話を聞いていたのか』、『それは今ここで話すことではない』など、あからさまな質問封じをするのには呆れたことも多々ありました。私の先輩が、天皇と呼ばれて君臨していた社長に質問したことをきっかけに左遷されたのには驚きましたが、会議も質問も命がけです。生産性の高い会議など望むべくもありません。もちろんそうではない会議もありますが、稀!

 

生産性の低い会議は、日本だけかと思ったら米国でもあるようです。

いずこも同じ秋の夕暮れですが、それをやっても労働生産性の高い米国は、本物の会議の方が多いのでしょう。生産性のない会議は即座に廃止すべきですが、メンツをつぶされると感じる主催者は抵抗するでしょう。しかし、それをやらないと何時まで経っても先進7ヵ国中最低の労働生産性は上がらず、GDPにも影響を及ぼすのを避けられないでしょう。

 

※質問はosugisama@gmail.comにどうぞ
※リブログを除き、本ブログ内容の無断転載、流用を禁止します。