今年は4年に一回、2/29があるのうるう年。朝日にうるう年にシステムトラブルがあったという記事がありました。

紹介されている3件に共通する原因は、うるう年を考慮していなかったというお粗末なミス。何とも情けないことですが、汎用コンピュータ時代のSEに比べ、今時のSEの力が落ちていることを再確認した次第です。その辺の講演を頼まれたこともありますが・・・

ここに掲げた項目以外に、言われるまでもなく気が付かなければならないことに気が付かないSEがいることも経験してきました(しかも大手SIerのSE!)。お金を扱う金融機関はじめ、航空会社/JR、病院などの予約/勤務スケジュールなどは2/29を意識しなければなりませんが、それができない人がSEを名乗っているのが今なのかもしれません。上掲の新聞に紹介されているシステムを作ったSEはその典型でしょう。スクラッチでシステムを開発してきた汎用機時代のSEと、効率向上の名の下に出来合いのパッケージを当てはめるだけで済む今のSEとの鍛えられ方の違いかもしれません。鳴り物入りで始まったマイナンバでは、他人の住民票がプリントされてしまうシステムになってしまうのでしょう。開発した富士通japanは、河野デジタル相から叱責されましたが、当然です。

もしかして、入念なテストとか検証を行いシステムの品質を保証する(保証しなければならない)という発想がない・・・そもそもシステム(ソフトウェア)の品質ってなに?ということか・・・

 

菅さんが創設したデジタル庁、岸田政権が進めるデジタル化社会の実現で、学識経験者、有識者と称する泥をかぶった経験のない皆さんと、机上で汗をかく優秀な官僚たちの合作で立派な構想を作りますが、それを実現する役割を担うSEがこれでは、話しになりません。まずは、人材育成が急務です。

 

うるう年の思い出・・・汎用コンピュータ全盛時代に関東圏の顧客企業でシステム立ち上げ時、オペレータがIPL(Initial Program Loader)実行時に、興味半分でオペレーション当日の日付ではない日付を入力したらシステムが立ち上がらなかったという事象が発生したことがありました。顧客がその話を担当SEに、そのSEが現象とその原因を問い合わせてきたことがありました。担当したのは、OSの設計部門からSEへの技術支援、トラブルシューティングに移っていた私でした。

 

問題を起こしたコンピュータとOSは、全国で多数運用された実績のあるものでしたが、その様なことは今まで一度もありませんでした。IPLができないというのでOSのIPL処理を調べる一方、確認したのは『オペレーション当日の日付ではない日付を入力したという、その日付は何月何日だった』かでした。入力した日付は2/29でした。その年はうるう年・・・当日が2/29だったら、その入力を受付け、それ以外の日なら確認メッセージを出し、(何らかのテストをするために)やる気でやったのか、オペミスなのかを応答させ、前者だった場合は、システムを起動させなければなりませんが、そうならなかった・・・

 

調べた結果、OSの日付管理のバグが発見されました。幸い、2/29まで一ヶ月近くあり、早急にパッチを作ってテストを繰り返し、問題ないことを確認してから全国のSEにパッチを送り、事なきをえました。4年前のうるう年の時には何も問題なかったのに・・・その時は、うるう年の考慮はアプリケーションでやっていた時代で、OS(IPL処理)の日付入力の厳密な管理の機能をやっていなかったので、引っかからなかったことが分かりましたが、どうなるのかと思って2/29を入力した顧客のオペレータの好奇心、遊び心に救われた出来事でした。全国的に問題なった2000年問題に比べ、うるう年の問題は取り上げられるはなかったものの、実はこんなことがあり、それは今でも続いていることを紹介しました。

 

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