リーダシップと独断専横の違いをChatGPTにお伺いをたてたところ、目的と意図/意思決定プロセス/影響と関係性/結果と影響の項目を分けて回答してきました。どんな教師データから得られたのか分かりませんが、瞬時に項目に分けて回答してくるとは大したもんだと思いました。意思決定プロセスには、次のような回答が書かれていました(原文のまま)。

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リーダーシップでは、意思決定プロセスは参加型であり、グループのメンバーや関係者とのコミュニケーションや協力が重要です。意見を集約し、共通の理解を得た上で意思決定を行います。独断専横の場合、意思決定は通常、リーダー自身が独自に行います。他者の意見や助言を無視し、自己中心的な判断が支配的です。

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独断専横は分かりやすい説明ですが、リーダシップの説明は今一つピンときません。やはり、ここは様々なプロジェクトに一兵卒として参加したり、リーダとして率いてきた中で経験したことに基づいて書こうと思います。

 

まずは、リーダシップの定義です。

一言で言えば、プロジェクトを成功裏に終わらせるために必要な有形無形な能力と言えます。経験から言えば、次のとおりです。

①当該プロジェクトを遂行するために必要な知識経験を持つ

②職位で従わせるのではなく、人望で人を引き付ける

③同じ目の高さ以下でメンバの意見を聞く姿勢

④コミュニケーションスキルが高い/話題が豊富

口先だけではなく、行動に移す

⑥責任感が強い

⑦率先垂範(やってみせる)

⑧打算でない誠実さ

⑨視野が広く、先見の明がある

⑩細かなところに気が付くなど、メンバの観察、気配りができる

 

これらの資質を持ったリーダが仕切っても、想定外の要素でプロジェクトが挫折することもありますが、一般的にはこれらの能力(リーダシップ)を備えた人がリーダになれば、プロジェクトは成功裏に終わるはずです。かの山本五十六はこんなことを言っていますが、さすがです。

しかし、往々にして上掲の項目に該当しない人物がリーダになることがあります。中には『私のいうことを聞けないのか!』、『言われたことやれ!』という問答無用な独善的言動でメンバを従わせるタイプのリーダもいますが、プロジェクトメンバのやる気を削ぎ、活性化は望むべくもない状態になること必至です。

 

リーダシップを備えた人は例えてみれば、司馬遷の史記にある『桃李』が理想的です。史記の一説に『桃李もの言わざれども下自ら蹊を成す』というものがあります。桃李とはモモ、スモモのこと。蹊は、道、小道のこと。桃や李の実を採ろうと、たくさんの人が通るので、桃や李の木々の下には自然に人が集まり、道ができるというもので、

・徳ある者の下には何ら特別なことをしなくても自然に人々が集まり、強制しなくても服する
・立派な行いを示す人の下には、自然と人が慕い集まる
という意味となります。
この自然というところが大切です。職位、職権、権威で従わせるのではなく、自然にです。プロジェクトを円滑に進めるためには経験豊富で人望のあるプロジェクトリーダが理想です。ところが、職位、職権でお飾りで就任してしまう場合が往々にしてあります。従うのではなく、従わせる・・・自然ではありません。これではそのプロジェクトメンバの士気は上がらず、したがって生産性はあがらず、仕事する喜びも楽しみもありません。会社も同じことです。東電会長の勝俣さんのように、天皇といわれるほど君臨していたのに、原発事故は現場の責任などと言ってしまうリーダではアウトです。安倍派を中心とする自民党の裏金問題も、全て秘書、事務方に任せていたので知らなかったと自身の関与を否定する幹部も同じです。

 

私は過去、裸一貫から年間売上げ数百億の会社を立ち上げた社長が率いるディスカウントショップを約2年、年間16万人近い患者が来院する全国有数な単科の専門病院を約12年間、コンサルティングしてきました。コンサルティングの内容は、業務改革、改善とそれを踏まえた情報システムの整備です。トップは、いずれも教祖的な強烈な個性を持っていました。ただし、その個性の中には唯我独尊、問答無用の姿勢も入ります。唯我独尊、問答無用、これは桃李のように自然に人が集まり、道ができるということとは正反対なことで、リーダシップとは言いません。権威に物を言わせて議論を封じるのでは組織は活性化しません。組織が活性化しないということは、環境の変化に弱く、発想も貧困になり、指示待ちを助長してしまいます。第三者として観察すると、以下のとおりでした。
①権威を以て臨む(異論を差し挟む余地がなく、問答無用のトップダウン)
②面従腹背が見て取れる(生活のため、やむを得ず従う)
 

トップが自信たっぷりに展開した持論に反論するのは難しく、桃李になっていない創業一族が仕切る企業や民間病院では日常的に見られる光景です。

○『何かある?』に対して質問、意見を言える雰囲気がない
 ⇒質問すると『黙って聞け』、黙って聞いていると『意見はないのか」と言われる
○腰ぎんちゃく(ゴマすり)が忖度して代弁すこともある
 ⇒自分が言わず、人に言わせる。責任は持たない(言ってないという)
○勇気を出して質問、意見を言うと、『意味が分らない』と煙に巻く
 ⇒意に沿わない意見に対して発する言葉。再説明を試みるのは危険!
○痛いところを突かれると、『それは今議論することではない』として却下
 ⇒しかし、別途機会を作ってやる、ということはない
○反論できないと、『それは誤解だ』という
 ⇒何をどう誤解しているのについての説明がないが、確認してはいけない
○議長であるトップが席を外した時に本音の意見要望が出る
 ⇒面従腹背になっていることを明白に示している

以上が典型的な例です。

打っても響かない鈍い者or納得してもらうのに時間がかかる者に、高速で回転するトップの頭脳はイライラすることがあるかも知れません。しかし、力で押さえ込まず、業務経験、常識を持つ者なら、桃李のように自然に理解できるロジカルな説明が欲しいものです。また、職位を始めとする権威やお金ではなく、その人の知識・経験・人品骨柄による、強制されない信頼・信用が求められます。それが人望というもので桃李につながります。長年、問答無用で強力(強引)な率先垂範(悪い意味で)の上意下達環境下にいると、知らず知らずのうちに誰も意見を差し挟めない雰囲気が醸成されてしまっている状態画見てとれます。自由闊達さを失ったヒラメ社員を抱えても企業(組織)は強くならないどころか衰退するでしょう。

 

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