先日、Amebaより私のブログにフォロワーが増えたとの知らせがありました。私が書くブログはプロフィールにあるとおり、業務分析、改善改革、人材育成を踏まえた情報システム構築コンサルティング経験を踏まえて書いています。比較的専門性が高く面倒くさい内容。字数も2千字前後なので、アクセスしてくるのは、その方面に興味を持っていたり、職業としている方だと推測しています。フォローする方も時折いますが、その方のブログを拝見して削除することもあります。今回はaccept。アトピーのお子さんを抱えている方でした。多分、検索したらこれがヒットしたものと思います。実は私もアトピー性皮膚炎の一種、紅皮症と診断され、知り合いの総合診療医から某大学病院の皮膚科部長を紹介され、今も定期的に受診し、自己注射もしています。

皮膚科部長は、痒みを引き起こす様々な要因を検査によって一つずつ潰していきましたが、胸写(肺のレントゲン)をしたので、どうして?と聞くと、結核でも痒みを生じることがあるとのことでした。で、検査結果をチェックした結果、思いもよらないアトピー性皮膚炎(紅皮症)とのこと。何が原因なのか伺ったところ、『アトピー発症の原因は不明』とのこと!原因が分からないので根治治療はできず、痒みを感じる細胞に蓋をしてしまうJAK阻害剤と呼ばれる注射、あるいは飲み薬で痒みを抑え、保湿と皮膚の修復を行う軟膏の塗布のみという対処療法のみ!発症の原因が解明できていないので、当たり前というかやむを得ないことです。

 

痒みが抑えられれば掻くことによる問題がなくなり、睡眠の質も改善されるので、対処療法を続けながら様子みることになり、3年目に入ります。近所に70で発症し、対処療法を続けていたら75になる頃に症状がなくなり、注射、服用薬、塗布薬を止めたという方がいました。主治医から『どうして症状がでなくなったのかは分からないが、どうして発症したのか分からないのだから、何だか分からないけれど、症状がでなくなったので、治療は一旦中断』と言われたとのこと。また症状が出てくることもあり、その時には受診する(先輩談)そうですが、5年以上経った今、発症には至っていまないとのこと。一般的に疾患は、症状の確認と発症した原因を突き止め、原因となったものを排除、無効にする手術、投薬を経て、治療が終わるという順番です。アトピーのように原因が分からないものは、この過程をたどることができません。

 

原因の分かりにくいものに耳鳴りもあります。疾患(突発性難聴・メニエール病・聴神経腫瘍・中耳炎など)によるものもありますが、加齢/騒音/筋肉のけいれ/ストレス/睡眠不足/疲労なども引き金になるとされています。具体的な疾患がない後者のグループは、有効な治療法がありません。休憩すれば良い?私は大規模システムの仕様を決めている最中に、共同執筆の本の原稿の締めが重なり猛烈に忙しかった2000年の10月に耳鳴りを発症しました。原因としては、先ほど挙げたうちの多忙(睡眠、ストレス、疲労)に起因すると思いますが、MRIを撮って頭には異常がないことを確認してから、四六時中耳の中で蝉が鳴いているような状態でしたが、深く考えないようにして今日に至っています。有効で持続的な治療法がないので『気にしない、慣れる』で過ごしています。

 

以上述べてきたような、原因不明で発症するものについては対処療法しかありません。そこを目がけて『こうやったら治った』、『礼状が舞い込んでいる』等々、機序が明らかになっていない民間療法おまじないのようなものが巷に溢れてきいます。そもそも原因不明なのに機序が明確にされた治療法、薬が出来上がるはずがありません。それを考えれば分かりそうなものですが、藁にも縋る藁をも掴む思いの皆さんが、上手くいった人の礼状を見ながら『そうなりたい』と思って決して安くない費用を出すことになります。今回、アトピーのお子さんを持つ方が私のブログのフォロワーになったので、その方のブログを拝見したところ、民間療法のリンクが張られていました。ザッと見たところ、最初は対処療法しかない、それらは非科学的!との解説がありました。この人、分かっている!と思いましたが、ではどうするのかがなかなか出て来ません。???と思って更にスクロールしていくと・・・

案の定でした。研究者、専門医が、発症のメカニズムが分からないと言っているのにアトピーの原因と克服のメカニズムというタイトルを付けるとは大胆なことです。何が書いてあるかは知りませんが、機序を明らかにしてその新説を日本皮膚科学会で発表すべきです。何とかならないかと思った患者、その家族が藁にも縋る藁をも掴む思いで購入する皆さんをがっかりさせないで欲しいと思います。そもそも、原因不明なので発症のメカニズム(機序)を明らかにした薬を開発することができず、信頼性の高い二重盲検の治験もできません。

 

京大学医学研究科皮膚科学の研究者の論文には『アトピー性皮膚炎は,遺伝的素因も含む多因 性且つ慢性の疾患であるため,治療のゴールは、日常生活を不自由なく過ごせることに主眼を置く』とされていることをみても、機序が明らかでなく礼状が来たことをアピールする程度の民間療法には頼らない方が無難だと思います。そもそも何人中何人が改善を自覚したか?その改善を自覚した人の過去の病歴、治療歴、薬歴、家族歴の状況をチエックしたのか等、評価にあたっては抑えるべきポイントがたくさんあります。箔をつけるために医師が絡んでいることを示すのは、がんのインチキ治療と同じです。

 

※ご質問はosugisama@gmail.comまでどうぞ。

※リブログを除き、本ブログの内容を無断で転載、流用することを禁じます。