バブルが始まる前後の1990年前半、スーパーではなくホームセンタ(新興ディスカウント会社)でしたが、ここのシステム再構築に伴うコンサルティングを経験したことがあります。現状システムの把握、システム化対象業務の分析等をやりましたが、その中でPOSレジも検討の対象になりました。当時のPOSレジは専用機であり、TECなどのレジメーカの製品から選ぶという選択肢しかありませんでした。
高価だし、機能の追加変更などにもお金がかかることから、当時実用に耐える機能と品質になりつつあったパソコンをレジのコントローラとして使えないかについて調べたことがありました。パソコンのOSがMSDODからWindowsに変わったのも、契機になりました。思えば、この頃からレジの機能とレジ打ちミス、レジ待ち行列、停電の際にはどうするかなど、レジとその周辺に関心を持ちました。
その後、技術は進歩し全品管理も用意になりバーコードが安価なものにもつけられるようになり、レジ打ちではなくスキャンすることでレジ精算は商品マスタとの照合なので正確になり、打ち間違いもなくなりました。もっとも、商品マスタの更新をミスして損害を被ったことはありました。今は、RFIDを使った全自動の精算機も登場!効率と正確性が一段と向上しているのはご承知のとおりです。
更なる省力化のために客自身がスキャンするセルフレジが日本に登場したのは、2003年。コンビニはそれから更に7年後の2010年ですが、ローソンが導入しました。確かにセルフレジは、レジ作業の遅いスタッフにイライラすることなく、大概複数台あるのでレジ待ちの時間も少なく、せっかちの多い日本人には向いていると思います。店側にとってはレジ一台に一人が張り付かないで済むので人件費削減に効果があります。セルフレジはその機能によって100~430万だそうですが、スタッフが1、2名で済むことを考えれば、メリットはあると思われます。
しかし、イオンはじめセルフレジを一時中止、廃止するスーパーが増えてきました。理由はズバリ、万引きです。
米国のウオールマートも廃止を検討しているようです。
同社のCEOは『Walmart's CEO has said the retailer may need to close down stores because of theft — and many of the company's customers/万引きの増加が続くようでは、店を閉じる可能性もある』というショッキングな発言をしていますが、被害額がそれほど多いことの証左です。レジ係を減らすという人件費削減が主目的の自動化でしたが、万引きがこれほど多くあるとは思っていなかったようです。
調べたら、米国だけではなく英国でも同じ事情があることがわかりました。ロイター電によれば、紀ノ国屋や成城石井のような高級なスーパーマーケットチェーンである英国のBoothsでは、❝UK supermarket Booths to scrap most self-service tills(ほとんどのセルフサービス精算機を廃止)❞すると宣言したとのこと。
具体的には、the decision to remove self-checkouts from all but two of its 28 stores.(28店舗中26店舗からセルフレジを廃止する)とのこと。英国の大手スーパーのテスコ(Tesco)やセインズベリー(Sainsbury's)などは、数千台のセルフレジを導入し、スタッフが精算するレジ大幅に削減するという施策とは反対・・・We like to talk to people and we're really proud that we're moving largely to a place where our customers are served by people, by human beings, so rather than artificial intelligence, we're going for actual intelligence(精算作業は、人対人が関わり合ってこその人間ならではのサービスであり、機械的なセルフレジではそれができない)というもっともらしい理由を挙げていますが、そうしなければならないほどの損害額だと想像できます。
英国のBoothsが時代に逆行してこの施策を採ったのは、セルフレジ導入で今まで高級店に足を運ばなかった購買層が来るようになり、それに伴い万引きが増えたことへの対抗策、ある意味で『来て欲しくない層への差別化』です。セルフレジ導入効果vs保守運用コスト+レジスタッフ要員のコスト+万引き被害額を比較し、決断したのだと思います。
営業のセールストークやブームに乗せられて導入したセルフレジですが、不正行為(損害)が増えることの見積もりを性善説でやったのかもしれません。システムは性善説で作ると早く軽く作れますが、トラブル要因を抱えることがあります。性悪説で作ると手間を食い仕様の決定までに時間を要し、開発時間も多くなりますが、結局は安上がりということは、システム設計/製造/運用に現場レベルで関わってきた皆さんは、承知していると思います。セルフレジも同じです。
やってみて初めて分かるのではなく、その前にデザインレビューをしていれば、事前に把握できるものです。もちろん、それでもメリットがあると判断することもありますが、無定見にブームに迎合しないこと!何かにつけ、これが重要です。
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