コロナ禍で思わぬオンラインワークを余儀なくされ、思わぬきっかけで政府が進める働き方改革が進むかもしれない状況です。コロナ禍で在宅勤務を徹底している日立製作所では、これをきっかけに在宅勤務を正式な勤務形態にする計画のようです。

日立以外にもこの様な会社はありますが、中には逆に体温を感じる今までの職場環境の方が良いという社員の要望に応えて在宅勤務可能な業種にも拘わらず、在宅勤務比率を下げた会社もあります。それぞれの事情にあった経営判断、正解はありません。いずれにしろ、コロナ禍が様々な働き方を変えるきっかけになりました。
 

一方、コロナには無関係な今から4年前、既存の働き方とは全く異なる意表を突く働き方を取り入れた会社があります。コロナでやむを得ずではなく、経営者の判断でそうしたというのだから本物です。私は、トップページに示すように、製造業、小売業、医療業界、自治体コンサルの経験がありますが、人時生産性、組織の生産性向上は共通したテーマでした。この方面の情報にはアンテナを高くしていますが、『好きな時、好きな仕事だけ』という興味を惹く記事を見つけました。それが意表を突く働き方を取り入れた会社です。

パプアニューギニア海産という会社の仕事の仕方を紹介している記事でしたが、過去の経験からすれば、考えられないことです。記事を読み進めると、今までの常識を覆すことばかり書かれていました。
・好きな日に休める
・休むことを連絡しないでよい
う~ん、非常識!しかし、なによりも驚いたのは、
・嫌いな作業はしてはいけないやらなくて良いではなく、してはいけない
です。
これらの施策というか発想はどこから出てくるのか?ある会社のコンサルをしていた時、作業実績管理システムを作り、収集した情報を社員の作業効率を上げるための施策立案に活かすなど、この方面の知識と実践経験を持っていると自負している私には想像もつきませんでした。しかし、よく読むと以下のことが分かってきます。
・好きな作業をさせられても能率が上がず、逆に下がる(生産性低下)
・好きな作業ならストレスもなく、結果として生産性が上がる
・好きな作業を継続して担当するので品質が安定する
なるほど、自然です。一方、これで運営できるのか心配になります。ところが、この会社は3年間の実績として勤務時間当たりの売上高がアップしているとのこと。自由度が高く働き易い環境のため、パート社員の定着率が高くなり、従って採用コストがからず、熟練度が上がり、安定した品質の製品を品切れなく出荷できるという、労使双方でwinwinの関係が出来上がっていたということです。規模的にやり易い、比較的単純な作業内容などを考慮して評価すべきこともありますが、同様な環境にある企業で、このような発想、発想を具体化するセンス、実行力を持ち合わせている経営者は稀有だと思います。

 

この記事の約1週間後、テレビ朝日の番組モーニングショウを観ていたところ紹介されていました。そこで嫌いな作業をしないための方法が紹介されていて、本当にやっていることが分かりました。画面を見た記憶を頼りに整理すると以下のとおりです。この会社では作業工程を30種類に分類していましたが、この細分化(作業の単純化)にノウハウがあるはずです。フォードが自動車の組み立て作業を細分化(単純化)し、流れ作業で製造できるようにした発想に似ていますが、この作業毎にパート社員が得意(好き)、不得意(嫌い)を登録する以下のような用紙がありました。

常識的には、好き嫌いは論外!不得意があれば、それが得意となるよう教育訓練し、どの作業でも担当できる、いわゆるマルチタレント化を図るのが普通です。例えば病院の場合、看護師に各診療科をローテートさせたり、外来、病棟、手術を経験させ、どこでも使える臨機応変な機動性を発揮できるようにすることがあります。しかし、この会社は時間(手間)、予算をかけてまで教育訓練する必要がない職種、作業内容、規模であり、ステレオタイプなマルチタレント化をしないという判断をしました。目から鱗でした。


この様な働き方ができる職種がまだたくさんあると思います。政府が進める1億総活躍社会の中にある『働き方改革』の実現の一方策(実行可能解)としてこの方法があるのではないでしょうか。経営トップの意識改革さえできれば可能・・・誰が猫に首に鈴を付けるか?これが最も難しい!

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