コロナ禍で世界中がてんてこ舞いしています。この騒動がきっかけでテレワーク、遠隔医療(オンライン診療)、テレビ会議など、感染予防のために極力人との接触を避けることが推奨され、コロナ禍がきっかけで会社に出勤して仕事をするというパラダイムが変わるかもしれません。日本の通勤事情の悪さは1424億円/日もの経済的損失を招いているという調査もあり、その意味からもテレワーク率を上げることは有効だと思われます。

一昔前に比べ、ネットワーク環境の整備、安価なIT機器、周辺ソフトウェアの充実などの物理的環境は導入しやすくなり、テレワークは現実味を帯びてきています。しかし、これだけでは本物のテレワークはできません。物理的な環境が整備されても、業務(作業)を進めるに際して必要になる台帳、伝票、各種帳票など、情報源が電子化され、情報間のintegrityが保たれ、且つ適切なアクセス権の管理がなされていなければならないからです。さらに言えば、人事考課の評価方法も変えなければならなくなるでしょう。この際、一堂に介して仕事をするという既成概念を払拭してみてはいかがでしょう?有識者と称する現場感覚に疎い皆さんが進める政府の働き方改革は、地に足がついておらず、実行可能解には程遠い机上の空論ですが、コロナ禍で踏み切らざるを得なくなったこともあり、いまや現場レベルで実現しつつあります。定着すれば素晴らしい!

さてテコでも動かなかった既成概念が動きだすかもしれない今回のコロナ騒動、過去に起きたペスト、天然痘、コレラ、スペイン風邪などのパンデミックを振り返るとこれをきっかけに歴史が変わるきっかけになったと思われるものがあります。ペスト、スペイン風邪が代表的なものなのでどんな変化をもたらしたかを調べました。

 

《ペスト/黒死病⇒資本主義、自由経済》

黒死病と呼ばれたペストは14世紀に大流行しましたが、当時の世界の人口約4億5000万人の22%にあたる1億人が死亡したと推計されています。このため極端な労働人口減少になりました。その結果、生き残った農民たちの生産意欲をあげなければならなくなった領主は、頑張れば頑張っただけ自分の利益になる仕組みを考えだし、労働意欲を刺激しました。これが、資本主義、自由経済の始まりと言われています。ゴルフもペストの産物と言われています。その因果関係は次のとおりです。ペスト流行⇒農民大量死⇒農地余る⇒多くの土地を使う牧畜が盛んになる⇒広い土地で羊の面倒をみる牧羊犬登場⇒羊飼いは時間を持て余す⇒ゴルフを考え出す。風が吹けば桶屋が儲かる的ではありますが、なるほどと思います。パンデミックが社会の有り様を変え、新しスポーツまで生み出すとは!

《スペイン風邪⇒第一次世界大戦終戦要因》

世界で約4千万人もの死者(WHO)を出したスペイン風邪は、1918年にはスペイン風邪大流行、ヨーロッパでは少なくとも2千万人が死亡したと言われています。スペイン風邪により、徴兵対象となる成人男性の死者が急増、兵士の補充がきかなくなりかけたことが休戦、終戦の一因とも言われています。まさか風邪が、7千万以上の軍人が動員され、史上最大の戦争の1つとなり、兵士900万人以上と非戦闘員700万人以上が死亡したこの大戦争を終わらせる一因なるとは誰も想像しなかったことでしょう。

 

《コロナ禍⇒グローバル戦略の見直し》

ペストやスペイン風邪のように、資本主義、自由経済の勃興を促したとか、大戦争を終わらせるきっかけになったということではありませんが、コロナ禍はここ20年くらいの間に世界的な傾向になったグローバル経済、世界的なサプライチェーンへの警鐘にもなりました。原発となったのは中国ですが、世界の工場と称されたこの国からの部品供給が間に合わずに、生産効率向上、コスト削減などで世界規模での生産体制、サプライチェーンを構築していた企業は軒並み影響を受けました。

過去に発生したSARS、MERSなどの感染症は、パンデミックになるほどの感染規模ではありませんでしたが、この時、感染症の怖さを知り、リスク分散を図り、過度な効率重視を避け、中国市場を斜めに見ていた先見の明のある経営者(企業)は影響を抑えることができました。その最たるものがスズキです。同社は2018年に中国から撤退していました。


宿主である人が世界中を行き交うグローバル化した世界は、ウイルスの拡散と増殖にとって最適な環境だったことが改めて分かりますが、地球規模で人・物・金が動くグローバリゼーションが進んでいる今、パンデミックが起きる確率と起きた時にどのくらいの影響を受けるかを勘案した経営戦略を立て、実行できる経営陣が求められます。

 

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