コロナ禍の今、聞こえてくるのは昨日のブログでも取り上げたテレワークだけではありません。1日何回も不要不急という言葉を聞きます。不要不急とは、重要でも急ぎでもないという意味ですが、この言葉、コロナ禍だからではなく、日常生活だけでなく仕事をする際にもよく使っています。コロナ禍の今は不要不急な外出は止めようというスローガンですが、組織における不要不急はなんでしょう。いろいろ思い当たりますが、皆さん思い当たるのが会議ではないでしょうか?そうです、不要不急の会議です。特に定期的に開かれる会議がその典型です。簡単に言えば、顔見せと連絡(伝達)です。時間単価の高い職位の皆さんが多数集まる幹部会、集まることに意味があるという如何にも日本的な解釈をする向きもありますが、その時間をもっと意味のあることに使えないかと思うのは私一人ではないでしょう。
安倍内閣の施策の一つに生産性向上というものがあります。官民挙げて推進しようとしていますが、生産性の向上というスローガンは、昔からあり、今も掲げられている古くて新しい問題です。今日はコロナ禍で話題になっているテレワーク、テレワークの中でWeb会議をしている例を見かけますが、今日のブログは会議、その生産性を取り上げます。
“会議10則”なる標語が貼られ、効率よく議論し、会議を招集した目的を達するよう促している会議室を見かけます。しかし、現実には・・・
①議題がなんであるかを知らないまま出席する
②議題を理解しないまま出席する
③従って意見を持たないまま出席する
④会議時間内では見切れない量の資料が配布される
⑤持ち帰っても見ない
⑥意見を述べない発言0の出席者多数
⑦取り敢えず聞いといてと、参加を要請されることもある
という実態があります。それだけ、Σ(出席メンバi*時間単価i)に見合わうアウトプットが得られないない会議が多いということでしょう。
ある大学で教えていたとき、業務改革に関連して“組織の生産性”を取り上げたことがあり、その中で会議の生産性につき検討したことがあります。会議には、
・伝達会議
・調整会議
・決定会議
・創造会議
・それらの組み合わせ
がありますが、一堂に会する必要のない伝達会議が最も多いというのが実態です(北陸先端科学技術大学の國藤教授)。都下のある自治体から参加した研修生が調べたところでは、総勤務時間に占める会議時間の割合は、一般職で24%、管理職で58%とのこと。如何にも議して決せずの自治体体質を表す数字ですが、最も多いとされる伝達会議をグループウェアによる周知に切り替えたところ、金額換算で以下の効果が得られたという発表がありました。
・部内会議 △22,464,000円
(@3,000円×0.66時間×4回×12ヶ月×260人)
・課内会議 △21,600,000円
(@2,400円×0.5時間×1回×12ヶ月×1,500人)
業務上見ておくべき情報/職員として知っておくべき情報を伝えるという伝達会議に分類されるものを、グループウェアで周知させた効果です。併せて4千万円を超える効果とは驚きですが、この時間を本来の住民サービスに振り向けることができれば、住民満足度を向上させることができます。しかもこの4千万円は自治体の住民が納めている税金です。会議費に消えてしまう税金を自治体の諸施策に使え、有効活用にもなったという点でも評価できます。
御前会議と揶揄される質問するのも憚れるトップ主催の会議もありますが、自治体に限らず、医療機関や一般企業でも、一堂に会する必要がない“伝達会議”に分類される会議が少なからずあるはずです。上述の計算式で会議の生産性を金額に換算し、その額と効果を比較してみることを勧めます。 ただし、伝達会議をグループウェアに置き換えるには、
①誤解なく理解してもらえる文章を書く
②その文章を短時間で書く
という、ドキュメント作成能力が求められます。この能力は基本リテラシの一つですが、手紙(文章)を書かなくなったこと、およびLINEでのやり取りに見られるように、日本語とは言い難い文章(文章とは言えないが)を書くようになっていることが影響し、①、②ができる人が少なていることを示していると感じます。なお、私のクライアントでは、グループウェアを通して社員全員に会議について再認識してもらうための案内をだしたことがあります(2005年、IT系出版社でのことです)。
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会議開催の条件
・会議のテーマが事前に周知されている
・出席者は十分な意見と情報を持って臨む
生産的な会議だったか?
・議論が戦わされたか
・積極的に意見をだしたか
・疑問は解消されたか、結論に納得したか
・同報メールやグループウェアでは得られない“一同に介しただけの価値”があったか
・会議の目的は達せられたか
・参加して良かったと思ったか
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この様なことを意識して会議に参加すれば、生産性の高い会議になることでしょう。人との接触を避けるテレワークが推奨されている今がそのような会議にするチャンスです。
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