コロナ禍で人との接触を避けることから様々な取り組みが行われていますが、人同士が接する小売業では無理な話・・・と思っていましたが、無人コンビニに代表されるような取り組みが紹介されています。コロナ禍の今は、人と接することなく、買い物ができ、精算できる仕掛けは歓迎されます。しかし、人が介在しない買い物は味気ないのではないかというのが率直な疑問です。もっともAmazonに代表される通販のように商品すら画面で見るだけだし、人と会話することなく所定のフォーマットに必要事項を入力、選択して注文・決済し、後日配達されてくるのを待つという購買スタイルが定着して久しく、もうそういう時代になったことを受け入れなければならないかもしれません。

 

ディスカウント会社のコンサルを通して小売業に携わってきた経験がありますが、最近の精算方法には興味深いものが多々あります。買い物客自ら精算するセルフレジはその一つですが、今や普通に使われています。オンラインショッピングの精算にクレジットカードを使ったり、電子マネを使ったりするWeb上の決済も一般的になっています。ニュースによれば、精算する人も含め、お店の人が一人もいない店舗が出現しそうとのこと。今日はこれをテーマにします。道路沿いに無人の野菜販売所があり、欲しい人は商品をとってお金を箱に入れて買っていく売り方買い方があります。お釣りが発生しないよう100円という切りの良い値段にしているところが大半です。無人だし、精算は要らないし、売る方も買う方も手間いらずです。

しかし、120円で売りたくても100円にしなければならないし、90円程度なのに100円にすることもあるでしょう。お釣りが欲しくてももらえないし、小銭がない場合には買えません。これは売る方には売り損じ(機会損失)になります。しかし、条件にあった人だけに買ってもらえれば良いというスタイルの売り方なので、せせこましい細かな議論は不要です。この売り方にヒントを得るとすれば、信頼関係の下に『無人で精算ができる』です。しかし、売りたいものを買いたい人に売り損じなく売るという小売業の原則からすれば、この無人野菜販売方法で欠けているのは以下の3点です。

売る物が限定されている
支払いは良心に任される
お釣りがでない(支払金を釣銭として置き、購入者に精算させるのはリスクが多い)

 

自動精算レジ(⇒無人レジ/自動化レジ/患者識別と同じ方法!)を使うことで、これらは全て解消されます。

今日のコラムで紹介するのは、②、③の部分です。この部分を購入者が持っているクレジットカードで自動的に支払ってもらうという方法です。サインレスで済ませられる上限金額を決めておき、クレジットカードについている個人認証無線タグをレジのRFIDリーダが読み、自動的に決済を済ませてしまうという方法です。社内のコンビニだったら無線タグ付きの社員証でも代用できます。この場合は給与天引きができます。

更に進むと、レジすらない運用ができます。購入者は商品が置いてある部屋(店舗)に入り、適宜商品を取り、出ていくだけです。商品棚から誰によって何が取られたかは店内のRFIDリーダが購入者と紐づけて管理していて、店舗を出ていく時に何を持って出たかを決定し、請求額を計算し、購入者のクレジットカード、あるいは社員の口座から引き落とします。これで、レジも精算する人も不要になります。既に実証実験が始まっていますが、究極のスマート精算方法です。万引きはできませんが、不正に入手した他人のカード使うことを防ぐには、カード会社の盗難情報を参照し、該当者入店時に扉が閉まり管理者に通報する仕掛けが必要になります。うっかりカードを忘れてきたお客が入店しようとした場合も同様で、改札のガードのような入店させない仕組みも必要になります。便利さの陰に隠れた問題の解決にも十分な時間と知恵を割かなければなりません。

このスタイルの無人店舗、自動精算システム2020年の東京オリンピックまでに実用化する計画があるそうです。無線タグの単価を如何に安くできるかなのと、上述の不正防止が課題ですが、技術的には、今でも可能な仕組みであることが理解できたことと思います。

 

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