広がりを続けるコロナ禍対応という名目で特措法を制定しようとする動きがあります。使いようによっては私権の制限につながる劇薬なので慎重を期してもらいたいものですが、必ず議事録を残すことになったようです。そもそも国の政策を決める会議をしたのに議事録を作るのは当たり前で、わざわざ言うまでもありませんが、森友・加計問題のように残すと都合の悪い場合があるということでしょう。森友・加計では該当文書は削除したり改ざんされたりしましたが、2年ほど前、国有地の森友学園への大幅値引き払い下げ問題が国会で問題になっていた頃、財務省が全てのパソコンを入れ替えました。どうしてでしょう?
この経緯を説明するための予備知識として、システムのリビジョンアップ⇒バージョンアップ⇒スクラップ&ビルドにつき説明します。情報システムは稼働開始か陳腐化が始まると言われています。それは、時間経過と共に仕様が前提としている条件が変化してくるからです。これを吸収するため、システムのリビジョンアップ⇒バージョンアップ⇒スクラップ&ビルドが発生することは避けられません。変化を吸収し、タイムリな更新を行うことでシステムの目的である業務効率の向上に寄与し続けることができます。システムの基本設計時に変わるであろう部分を可能な限り洗い出し、パラメタやテーブルの設定で変更に対応できる構造で作るのが設計者の腕の見せ所です。この辺の事情を図解すると、以下のとおりです。この図は以前ある雑誌に寄稿する際に作ったものですが、今でも使えます。

パラメタにした好例は消費税です。最初3%(1988)が5%(1997)になり、やがて8%(2014)となりました。将来変更があることを見越し、消費税率を固定にせずに外部から与える(パラメタ)ようにしておくと、変更は簡単で確実に行えます。複雑な医療請求では、検査の値や一定期間内の検査回数によって請求可否が決まったりする場合があります。この場合でも、閾値や期間の長さ、回数をパラメタにしておけばシステムを修正することなく、パラメタの変更だけで対応できます。しかし、大幅な改訂の場合にはそれでは間に合わないことがあります。この場合は、新たにロジックを組んでバージョンアップで対処します。しかし、図中ので示した状態になってしまうことがあり、既存システムの延長線(バージョンアップ)での対応ではなく、スクラップ&ビルド(全面的に作り直し)となります。もちろん、多額の費用と時間を要します。

 

このスクラップ&ビルド、一般的には競争が激しく、情報システムの出来不出来が業績を左右するかもしれない民間企業の場合は珍しくなくあります。一方、法的な根拠に基づいて仕事をする省庁、自治体では、スクラップ&ビルドをしなければならないほど広範囲な法律、条令が改訂されることは多くはないでしょう。そこへオヤッと思うニュースを見つけたのは、森友問題ので国会が紛糾している時でした。

一般的なスクラップ&ビルドと異なるのは、業務改革や改善がきっかけではなく、全てのパソコンを取り替えるという物理的なものです。財務省は、50億超ともいわれるこの全てのパソコン入れ替えがどうして必要になったのでしょう?、財務省の長期的なシステム整備計画があり、それを実施するための予算が組まれていて、スケジュールに載っていたのならば問題ありません。そうではなく、不自然に入れ替えるとしたら、何かあると思われても仕方がありません。


どうしてこの時期にと考えてみた時、ピンと来ました。森友、加計関連の情報隠しです。関連情報の削除を指示しても、出先機関も含め何万台もあるパソコンから該当する情報を漏れなく削除したことを確認する術がありません。追及される足がかりとなるものを確実に消し、残骸を残さないためには漏れが出るかも知れない該当ファイルを見つけて消去するよりも、今使っているパソコン全てを破棄し、真っ新なパソコンにした確実だと判断したものと思います。物理的なスクラップ&ビルドです。もっとも、旧システムからのデータ移行時にミス(残骸を残す)をする可能性があり、作業を担当したNECはストレスがたまったことでしょう(逆に言えば、作業を担当したNECは何をしたのか全て知っている!)。随分あからさまなことをやるものですが、こうでもしないと安倍首相が窮地に陥ることから財務省はやるしかなかったのでしょう。あまり考えずに行動してしまうトップの不始末をここまでかばう財務省(官僚)、立派というか哀れです。しかし、スクラップ&ビルドの使い道、この様なことに使うとは驚きました。

あり得ない確率で起きた8億2千万もの値引き。近畿財務局がこの金額を鑑定価格から差し引き、1億3400万円で森友に売り渡した特例処置、籠池さんが『神風が吹いた』と表現しましたが、当事者の実感として言い得て妙な表現だと感じます。嘘をついてまで安倍首相の後始末をする官僚や哀れ!自民党の歴代内閣でもこのようなことはありませんでした。

 

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