PDCAの研修案内メールがきました。もちろん受講する必要もつもりもないので、ゴミ箱に捨てました。念のため、PDCAセミナで検索したところ、多数ヒットしました。

未だにこの種のセミナで受講生を募っていることが分かりましたが、セミナを受講しなければ分からないものなのでしょうか?PDCAとかその前身のPDSは、企画(計画)を立てて実行し、結果を検証し、計画当初に目論んでいた結果(効果)が得られなかった場合には、その敗因を分析し、計画の見直しを図り、更に実行、検証を繰り返すというサイクルですが、このPDSとPDCAとかという言葉がなかった時代から、実務家は同じようなことをやっていました。わざわざ教えてもらうようなものなのか?過去やってきたことから言えることを軽重不問で列挙すると以下のとおりです。

~~計画~~

・規模(予算、時間、影響範囲)を勘案した上層部の積極的同意を得たか
・意思決定者の鶴の一声ではないか

・何を以て成功(計画通り)としたかを決めたか

・計画自体がおざなりではないか

・単なる思い付きではないか

・まずはやってみようではないか

・行き当たりバッタリではないか

・ブレーンストーミングの域を出ていないか

・実行途中でのレビューを組み込んでいたか
・関係各方面が参加してのレビューを受けたか
 (レビューのやり方を習得していない場合には、その訓練から始める)

~~実行~~

・何をどの様に実行するのかを決めているか

・実行途中でおかしいことに気が付くためのレビューを組み込んでいるか

・気が付いた時に、間違えたと思われるポイントに戻るパスを作っているか

・そもそも、そういうプロセスを考えているか

~~評価~~

・評価方法を決めていたか

・その評価方法は正しいことを事前に検証していたか

・評価に加わるメンバは偏っていないか

・そもそも、何を以て成功(計画通り)としたかを決めていたか

 

など、基本的なことを抑えたうえで、規模の小さなプロジェクトでPDCAサイクルでやり方を習得し、次第に中規模にチャレンジ、やがて前者を巻き込む大規模プロジェクトというPDCAに移るというステップを踏むことが必要ではないかと思います。
 

今時の方は、PDCAは聞いたことがあるけれど、PDSは知らないという方が多いかもしれません。我々段階の世代はPDS時代ですが、念のためPDSをGoogleで検索したら、その名前の会社がヒットしてしまいました。PlanDoSeeのフルスペルで検索してもその会社が出てしまいます。PDSの発想の原点を理解していればPDCAが同じことだと分ります。ようやく後ろの方で見つけましたが、PDSはそれほど昔の言葉になってしまったようです。しかしPDSという言葉を知っていたこの会社、理解せずというかできずにというか、以下のような知ったかぶりをしていました。
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一部の会社でいまだにPDSを使って仕事の
プロセスを回そうとしている会社があるが、
PDSではなく、PDCAでなければならない。
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残念なことですが、この程度の理解でコンサルティングをしようとするのだから呆れます。このような会社にコンサル依頼してはいけません。また、実務経験0で能書きをたれる評論家的コンサルタントが、重箱の隅を突くような議論や見解、ウンチクを語る向きもありますが、結論から言えば、PDSの狙いを理解していればPDCAなどと言わなくても良いということです。そもそも、その様な言葉なかった時代から、同じようなことをやっていたのだから!BPM、クラウド、アジャイル同様、新語がでてくると、付和雷同に『そうだそうだ』となりがちですが、PDSでもPDCAでも本質的にはどちらも同じことと理解しましょう。実務でやってきた人なら分かることです。能書きだけの机上の空論屋には分からないでしょう!

PDSはPlan(計画)→Do(実行)→See(評価)に対して、PDCAはPlan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善)となっています。
PDCAの方が分りやすいようですが、PDSのS(See)は、単純に評価するだけではなく、やってみたことが狙い通りだったのか、問題を残したのか、まったく外れたのかなど、完成度を高めるために評価する意味を持つSeeです。評価の結果、改善点、修正すべき点があればそれを反映して計画を練り直し再度実行します。まったく外れた場合には、計画そのものの妥当性から検討し直してから、実行し、評価します。
PDSを理解している皆さんは、Sで止まるのではなく、必要があればその結果を踏まえてもう一度チャレンジしてきたはずです。すなわち、SeeがPDCAのCheck+Actionになっていると思えばいいわけです。

RADの発想の根底を知っていればアジャイルという新語が出てきても驚かないし(RADからアジャイルに名前が変わっても本質は変わらない)、業務改革がBPRと言い換えられても慌てることがないのと同じです。BPRではダメでBPMだ!というのがナンセンスなのと同じことだと思いましょう。

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