小泉進次郎氏は環境相就任後、今まで以上に発言が報じられる機会が増加。福島県いわき市で記者団に東京電力福島第1原発事故による汚染土の最終処分場について問われた際、『30年後の自分は何歳か、発災直後から考えていた。健康でいられたらその30年後の約束を守れるかどうかの節目を見届けることができる政治家だと思う』と答えた。何を言いたいのか見当つきませんが、空疎であっても、淀みなくスラスラとこの様な答えができるのは一種の才能かもしれません。政治アナリストの伊藤惇夫さん曰く、『話術は優れているが、中身は空疎』とのこと。元財務官僚の山口真由さんは『あれは政治家の答弁のひとつの形で竹下型と言われるもの』と指摘していました。竹下型はどんなことを聞かれても、誠実な面持ちをして、聞かれていることとは無関係なことを答える言語明瞭意味不明と言われたタイプですが、この反対は宮沢型というそうです。どんなことを聞かれてもまっすぐ答えるタイプですが、宮沢型になるには質量共に相当な知識が必要!一朝一夕にこのタイプになることはできません(山口談)。弁舌に長けているのは生来のものかも知れませんが、知識はそうはいきません。次期総理人気投票でダントツの1位など、もてはやされるのは視聴率をとり、販売部数を挙げたいジャーナリスト精神を忘れた軽薄なメディアが喧伝してくれたお蔭ですが、ニューヨークの環境会議では、ジャーナリズム精神を失わない本物の海外の記者から畳重ねて矢継ぎ早の質問を受けると答えに窮し実力を露呈してしまいました。やはり口先だけでは実務は務まらないし、人気と実力は別物という当たり前のことを再認識させました。しかし、彼はまだ38歳。今後の精進に期待したいものです。

人に何かを説明(プレゼン)したり質問に答える場合には、相手が理解できるような話の展開(シナリオ)と表現(言い回し)にしなければなりません。通る声でハキハキ喋るものの、よく聞くと(聞いても)、意味が分からないことを言語明瞭、意味不明と形容しますが、それで有名になったのは消費税導入をした竹下首相です。言語明瞭、意味不明の例として、よく取り上げられる彼の参院予算委員会での発言は以下のとおりです。
~~~~~~~~~~~~~~~
私の答弁はよくぐるぐる回りすると言われるのでございますが、いろいろぐるぐる回りをしながら到達したところは、非常に端的に皆さん方が大型間接税という言葉から来る懸念というものは、結局ぐるぐる回りしてみますとああいうものではないか。それは今言ったように、一つ一つ政策上の配慮とか税制全体の構築の仕方等によって中和できるんじゃないかということは、問答を重ねていくうちに、これも普通の人でないからかもしれぬでございますけれども、普通の人がなるほどなと、こう思っていただけるようになるんじゃないか(1988年3月12日速記録より)
~~~~~~~~~~~~~~~
最期の文は『なるんじゃないかな』ではなく、総理大臣たるもの『~すべきである』、『~と考える』のように言い切るべきだと思いますが、それはともかく、この答弁、どこで切れているのか前後のつながりが分からず、何を主張したいのか全く分かりません。話し言葉を文字に起こしたのでやむを得ないことを加味しても、主義主張の体をなしていません。安倍首相も似たようなもので、聞かれた質問に正面から答えず(答えられず)、聞かれていないことを長々と話して質問時間を消化する戦術なのかもしれませんが、プレゼンテーション能力が低い(ない?)ように思えます。国連総会で演説した安倍総理の講演原稿をWALL STREET JOURNALがすっぱ抜いた写真がありました。
 
コメントをつけておきましたが、『次を強く』、『次もしっかり』などの注釈をつけてもらっている原稿には驚くと同時に、日本国民として恥ずかしい思いです。何を強調すべきか、主張すべきかを自分で決められず、事務方に書いてもらっていることがよく分かります。これでは並み居る各国代表にインパクトを与える演説(プレゼンテーション)はできません。国会内でも同様なことがすっぱ抜かれています。

何と、水を飲むタイミングまで指示されています。ここまで来ると情けないというよりも総理を演じることへの哀れさを感じます。重い荷を背負ってストレスが溜まり、彼が患っている潰瘍性大腸炎の原因にもなっているのではないかと想像してしまいます。また、踏襲 を『ふしゅう』と言い、未曾有を『みぞゆう』、頻繁を『はんざつ』と言ってしまい恥をかいた麻生前総理の轍を踏まないように、漢字にはことごとく振り仮名がふられています。国会にまで(こっかい)とふられているとは!『あける』のように、間の取り方まで書かれていますが、プレゼンテーションの基本ができていないことを事務方が知っていることが分かります。小学生並みの情けない話です。

ビジネスマンには基本リテラシが必須ですが、中でもドキュメント作成能力とプレゼンテーション技術は、自分が持っているもの、考えていることを他人に分かってもらうために必要な討って出る手段、能力です。ビジネスマン以上にその能力が求められる政治家、いわんや一国を代表する総理大臣には必須なもの。日頃から鍛えておかなければなりません。

※質問はosugisama@gmail.comにどうぞ!

※リブログを除き、本ブログの無断転載、流用を禁じます。