ファーウェイ製のサーバが、当該サーバを経由する情報を抜き取り、中国政府に流しているという疑惑があり、別件逮捕の感じで昨年12月、ファーウェイの女性幹部がカナダで拘束されたのは記憶に新しい事件です。米国が把握している状況を絵にすると次のとおりです。

単なる勘繰りではなく、中国が2015年に定めた国家安全保障法、および2017年に制定した国家情報法により、国に情報提供することを義務としていることから、中国企業であるファーウェイは情報提供の義務を負っていることになります。

すなわち、中国製の通信機器にはこの国の施策を反映した仕掛けが入っており、その通信機器を経由するすべての情報は中国政府に流れるように設定されていると思って間違いない・・・と思います。それが証拠に、米国の調査機関(Kryptowire)は、これら通信機器にその機能を担うファームウェアが潜んでいることをが発見しています。


先日、トランプはより強力なファーウェイに対する制裁令に署名しましたが、ゲノム編集双子を誕生させたと学会で発表して批判された中国人学者がいるように、モラル、人道上の倫理に反するか否かに無関係になにをやるか分からない中国はひょっとしたら、航空機の運航を制御する電子機器をコントロールできる仕掛けを開発しているかもしれません。そのようなことができるでしょうか?米国の国土安全保障省(DHS:Department of Homeland Security)のレポートに、それを危惧するものがありました。

調べてゆくと、なんと航空機の電子機器(アビオニクス)に対するサイバー攻撃が可能であることが分かりました。DHSが駐機中の飛行機(Boeing 737.)に対してハッキングを試み、成功していました(2016年.)。なお、Boeing 757へのアタックも2017/11行われ、成功していました。

地上にいる状態でハッキング実験をしたのは、飛行中では墜落事故につながる危険があるからでしょうが、これができれば、9.11のような事件はテロリストが操縦しなくても、机上から指示を出して飛行機を目標に突入させることが可能になります。懸念が現実に起きる可能性が出てきました。米国政府では、事件が起きるのはもはや時間の問題だとも言っています(only a matter of time)。


9.11の同時多発テロ以降、航空会社、空港、政府機関は、テロリストの攻撃から旅客機の乗客を守り、旅の安全を確保するための様々な対策を行ってきましたが、テロリストが乗客として乗り込ませることなく、机上から飛行機を電子的に乗っ取り、遠隔地から飛行中の航空機の電子機器(アビオニクス)に侵入して、でたらめな高度、速度、方角情報をセットさせて原発や人口密集地に墜落させたり、空中衝突を起こさせたりすることも不可能ではないことが2017年のハッキングテストで分かってしまいました。


航空機の電子機器(アビオニクス)の中にはTCASと呼ばれる空中衝突防止装置(Traffic alert and Collision Avoidance System)や、自動操縦装置も含まれますが、これが誤動作すれば多くの飛行機が飛び交っている今、安全が保証されなくなってしまいます。北朝鮮など、何をするか予想がつかない国や組織がうごめいている今、ASAPで実行可能な現実的対策が求められます。

 

飛行中の航空機へのサイバー攻撃により、その機体を①墜落させる(人口密集地域、原発、ダム、軍事基地など)、②空中衝突させるなど、想像するだけで恐ろしい事態が引き起こされますが、もっと広い範囲で危険性が高いのは空の安全を図っている航空管制システムに

侵入されることです。既に米国当局では、その可能性につきレポートを出しています。2015年のことです。

飛行機がどこを飛んでいるかがリアルタイムで分かるサイト(クリック)があります。下図は‎ある時に実際に飛んでいる飛行機の状況です。

空を埋め尽くしているかのようなこれらの飛行機が安全に飛行できるよう指示を与え、コントロールしているのが航空管制システム。このシステムが故障し、飛行中の航空機に衝突予防のための情報提供、指示ができなければどうなるかは自明ですが、故障ではなくサイバー攻撃を受けて誤った飛行コース、速度、高度を表示するようになった場合、これを見た管制官は、誤った指示を出してしまいます。その場合には、想像を絶する事態になることは、誰にでも理解できるでしょう。

 

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